第10話下見という名の親睦会

YKAKの今日のトレーニングは!



トレーニングではないのだが戦いの舞台となる東京の下見だ。


と、言っても、、、



「チーズドックおいしー!」



「ここのクレープも美味しいです!」



「...このぬいぐるみかわいい」



と、まぁただの東京観光になっている。



「って、ちょっと待て待て!」



「?」



みんなキョトンとしている。



「あのなぁ、今日は観光に来たんじゃないんだぞ!」



「はいはい、わかってまーす」



クレープとフルーツ飴を両手に持った朱里がそう言った。



って、1番わかってないだろ!



「とにかく!これから練馬区の方まで行くぞ!」



「なんで練馬区なのよ」



「あんまり人が降りなさそうだからって言っただろ」



今回の大会では品川区、新宿区、渋谷区などの大都市に物資がたくさん置かれている。



そのため、たくさんの人がその物資を狙ってくるため初動からの乱戦は避けられない。



ん?戦いに行かなくていいのか?



バトルロイヤルは最後まで生き残ったチームが勝利。



それに最終局面はどちらにせよ戦わざるをえない。



「俺たちは初動で敵と絡みに行くのはリスクが高い。だから練馬区で物資を漁ってから動く。範囲の最終収縮は新宿区だから漁ったらすぐ東側へ移動することになるからな。」



今回の大会で1番大変なのは安地移動。



練馬区から新宿区までは約9キロ。



この距離を移動するには相当な体力が必要とされる。



そしてこの大会は最後の1チームになるまで終わらないこと。



つまりは最後範囲縮小まで一日かかるので最も時間がかかって一日は寝ずに戦い続けなければならない。



過酷なゲームになる分戦う地域の下見はかなり大事になってくる。



「よし、じゃあそろそろいくぞ」



原宿駅から電車に揺られ東武練馬駅を目指す。



そして、着いた東武練馬駅周辺は、、、



なにこれ、めっちゃ戦いやすそう!



東武練馬駅の周りはショッピングモールが1つあるが比較的平坦な土地。



平らな土地は高さでの不利有利が少ないため戦いやすい。



戦うにはベストな穴場!



「優作くん!少し買い物しちゃダメですか?」



圭一がキラキラした目でこっちを見ながら指さしていたのは駅からすぐのショピングモール



まぁお昼時だし、昼食とついでに買い物ってのもいいか



「わかった。じゃあ昼食と買い物済ませるぞ!」



俺たちはショッピングモールで食事をとった後2時間自由時間をとる事にした。



みんな自分の思い思いの店に行って買い物を楽しんでいるようだ。



俺はというと、まぁすることも無いのでカードショップで1人トレーディングカードを眺めていた。



正直めちゃくちゃ寂しいわ。



と、思っていた時、視界に入ってきたのは意外な人だった。



「朱里!どうしてこんなところに?」



「昔好きだったカードゲームのカードがまだあるのか見に来ただけ、悪い?」



「いや、悪くはねーけど、、んで、何のカードゲームだ?」



「バトル戦士」



バトル戦士。通称バトセン。俺たちが小学生の頃に一世を風靡した超人気トレーディングカードゲーム。



「バトセンのカードならあっちの棚にあったぞ」



「あんたもバトセン知ってんの?」



「そりゃめちゃくちゃ流行ったからな」



というと朱里はバトセンのカードがある棚の方へ行き、、、



ガラスに張り付くようカードを眺めていた!



「ほんとにバトセン好きだったんだな」



「ま、まぁ流行ったから少し嗜んでいただけよ」



絶対やり込んでたじゃん



「使ってた戦士のタイプは?」



「、、、炎と風のダブル」



「ちなみにその戦士は?」



「ファイヤー・テンペスト」



当時1番強いと言われていた戦士。



俺も喉から手が出るほど欲しかったカードで中古でも1万円は下らない。



可哀想だからこれ以上は言わないことにした。



朱里の新たな一面を知ったところでそろそろ約束の時間が来てしまった。



俺と朱里が集合場所に行く頃には圭一と佳奈は待っていた。



めちゃくちゃ大きい買い物袋を持って。



「こ、これどうしたんだよ」



「いやぁ、つい買いすぎちゃって!」



「そ、そうか」



「とりあえず今日の活動は終わり!って言っても遊びが大半だったけど、、まぁ明日からも頑張ろう!」



ほとんど下見は出来ずじまいだったがチームの親睦は、、、深まったかもしれない?



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