第2話 言語学習
委員長はネットで実践で使えるように語学を学んでいる。
実践ということで、別にネットの講座とか利用などしない。
外国のSNSなどに飛び込んでいくのだ。
ネットでの外国語はとても利用しやすい。多くの翻訳サイトがある。結構いい加減だが、当該語学の基本を自分で学習してから翻訳サイトを利用すると、うまく利用できる。
個人情報を晒さねばならない顔ブックスは論外だが、某イッターとかあまりにもでかくて某NSA等に利用されているのがバレバレなSNSも”おもしろい機会”は無い。
ので、当該言語国家内のみで流行っているSNSを利用するのが面白く、当然にしてその社会に密着した生言語を目の当たりにできる。面白いのだ。
で、イタリヤ語。
「ほう、今日は大当たりだな♪。」
普段は冷静な委員長の顔が緩んでいる。人目を気にしないでいい自分の部屋内、というのもあるだろう。
委員長は、自分の挙動が周囲にあたえる影響までわかって行動しているのだから。
イタリア国内ではそこそこ利用者が多いSNSだ。
最近イタリヤ語に凝っている委員長はそこを好んで徘徊している。
で、イタリア政府の財務省役人らしき内容の愚痴を書き込んでいる者を発見した。
内容自体は一般人誰もが容易に知ることができうるものだが、視点が逆なのだ。国民視点なのか役人視点なのか。
特に役人や政治家が国民視点で物事を見ようとしても、ほぼ「無理」なので、どうやってもその「臭い」は消せない。
「一気に大きく稼ぎたいのか?それともどっか極東の亡国のように目先の利益のみを見て、ちびちび消費税をUPしたり、食品・衣料品にまで適用してせこく目先の収入UPを目指すのか?」
と問うてみる委員長。勿論イタリア語。
「そりゃ、一気にでかい予算を得たいが、国民生活や資本家に大きな悪影響あたえたら、逆効果だろう?敵は作らないほうがいい」
我が国の役人や政治家に聞かせたい、「ごく普通の、当たり前の意見」を政府役人が当たり前のこととして考えているのが、委員長には気に入った。
「俺は日本人だが、お前のところには、世界最大のマフィアがあるじゃないか?」
「フッ、映画じゃあるまいし、イタリアンマフィアなんか今は世界じゃ斜陽もいいとこだ」
「違うぞ?世界で絶大な権力を持ち、本来はイタリアの国土なのに治外法権をその権力で脅し取った自称国家だ、あるだろう?世界最大のマフィアが」
「バ、バカチンのことを言っているのか?、、、?」
「ああそうだ」
「ふざけるな、命がいくつあっても足りない、、、」
「だろう?世界最大の最も危険な、CIAよりも危険な”世界公認”のマフィアだ」
「・・・・わかっているじゃないか、、、その危険性もわかっているのだろう?」
「勿論。だから正攻法を使う」
「世界の治外法権を持ち、かつ、世界最大のマフィア、に、どんな正攻法が通用するというのだ?そして、何を得られるのだ?」
「方法はまぁ、待て、焦るな。得るものは”寄付”だ。バカチンから困窮しているイタリア自治体へ善意の寄付をいただく」
「そんなことができりゃ、、、、」
「で、方法はだな、、」
「待て待て!こんなところで!公開状態だぞ?!!」
「はっはっは!誰が見ても阻止できないし、悪事ではないのでそれほど悪評は立たないよ?」
それほど、が曲者である。だが、そのイタリア人は気にしなかった。実際、気にする、しない、程度のことでもあった。
委員長は事細かに、そのイタリア人政府関係者に説明した。
幸い、そんなことに興味を持つそのSNSをユーザーはいなかったが。
それから数日後。
バカチン市国の観光が一時中止されることになった。日本からのツアーコースから外れることを、委員長はネットで確認した。
「始まったな」
委員長は、イタリア政府中央の多くの者達の姿勢に、心の中から盛大な拍手を送った。
現地。
バカチン市国はイタリア国土・国内なのに独立し、治外法権を得ている。
が、その周囲は全てイタリア。
イタリア政府が、その地方政府が、インフラを整備するのは市民社会の維持のためである。
「全てのインフラ網を地中の1つにまとめ、メンテがしやすいようにする。上下水道管を含めたインフラが全て入る大きさでメンテする人が入れるような大きさだ。今後はインフラ工事のために道路を掘り返し通行禁止にすることはなくなるだろう、災害で電線切断などもなくなる。」
全国的に見ればとてもでっかい莫大な公共投資だ。マスコミは両手を上げて絶賛した。が、予算がどうなるのか?政府は「予定がある。その前提として、工事が実際に進行されているのが確認されないといけない。」と述べるのみ。
この発表は勿論ニュースとしてイタリア語ネットメディアにもUPされ、誰でも読むことができる。
イタリア観光に最も多大な貢献をしているバカチン周辺を最も優先すべきだ。
という声が大臣をはじめ、与党の議員たちから沸き起こった、という理由で、バカチン市国周囲の工事を最初に始めることになった。
国家事業であるが、地域地域でそれを進めるのは各自治体である。自治体内の中小事業者を優先して使い、地域経済活性化などは国家国内経済活性化の基本中の基本だからだ。
で、
バカチン市国を囲むように、掘り返しが始まった。幅30−50m!深さ15m以上!!
同時に、イタリア政府はバカチン市国に今回の国家事業における予算への寄付を要請した。当然瞬殺された。
わかっていたことだった。
工事は順調に行われた。バカチンへの入り口は、大きく掘られた周囲の溝にかかった、足場による人がやっと渡れる小さな橋のみだ。
が、それが夜中に何者かによって落とされた。翌日、すぐに直したが、その日の夜中にもまたやられた。翌日、作業員はやる気をなくし、橋が再びかかったのはその日の夕方になってから。
警らを多くする、と地元警察はバカチン側に言った。
が、その夜も橋は落とされた。作業員やる気全くなし、橋は夕方になっても完成まではいかなかった。その晩は落とされなかった。
そして翌日昼過ぎに橋は完成したが、その夜中に落とされた。
バカチン側は「自分たちで堅牢な橋をかける」とごねたが、却下。工事に多大な悪影響がでるからだ。足りない予算に大きな影響がでてしまう、とバカチン側に説明した。
「では、うちから警備を出します」とバチ側。
地元側は「バチ側での警備はいくらでもしてください。でも、一歩でもバカチンから出ないでください。ここは我々の国だ。これ以上治外法権を拡大されるわけにはいかない」と断固とした態度。バチ側はイタリア側を脅迫しても無理だと感じた。
バチ側は正面取って打つ手は無くなった。なので、バチが外国でよく使う手を使うことも考えたが、虎の子部隊の要員をこんなことで使いバレたらまずい、なので懇意にしているCIAを少し脅し、地元有力者と自治体長、政府の公共事業担当の大臣に仕掛けさせた。
勿論CIAは、その支配下のNATO部隊に所属するイタリア軍特殊部隊を使う。バレてもバチにもCIAにも問題はない。
が、
何もなかった。何も起きなかったのだ。
CIAは再度、前回は各対象毎に単独で送り込んでいたが、今度は3名の最小チームで送り込んだ。
彼らも全員帰ってこなかった。
翌日、
ネットで、
覆面されたごっつい男が椅子に縛り付けられ、なにかを白状している動画が有名動画サイトで公開されていた。
同じようだが、別々の男の動画、が、いくつも。タグにCIA、NATO、バカチン、等。
自白の肝心な部分がある、だが動画の中の男の白状内容のその名称部分だけはブーミーにされていて聞き取れなかったが、ネット職人達はそのくらいの回復お手の物で、すぐに修正版が出回った。
見るものが見れば、すぐに薬物が使用されていることがわかった。
更に、あるものは「グアンタナモの取調室ではないか?傷やシミが同じだ」と指摘した。それが事実かは誰も実証できない。が、真実味を帯びた証言は多くの支持を受ける。
工事開始から半年ちょい後、やっとバカチン周囲の工事はまともに進み始めた。
予算が手に入ったのだ。
工事夫たちも、思いの外良い賃金を提示されたのだろう、毎日陽気に歌を歌いながら工事に精を出し始めた。
工事は全国的に展開された。予算はそれほど手に入ったのだから。
生徒会室
全校のクラス委員長を集めた今期の会議が今終わった。
各人が筆記用具を片付け始めた時、生徒会長が
「イルガベルノイタリアーノアファッタウンオッチモラーバロ(Il governo italiano ha fatto un ottimo lavoro.)」
机の上の片付けている筆記用具に顔を向けたまま小声で言った。
「Esatto. E ' stato fantastico.」
委員長の声だ。顔はやはり机の上の小物たちに。
それらの小声が耳に届いた者はいても、気にするほどの者はいなかった。
流石我が生徒会長ですな、、全見ている。見通している。委員長は感心と同時に安堵と喜びを感じた自分を肯定した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます