第129話 遊廓を出る
ロビーに女性陣が集まらり、シリカに言われた通りの儀式をする事になった。白無垢を準備され、シリカは着物を脱がされる。男性は晃だけで他は締め出されている。同席を許される男性は身請け人と店主だけだ。元遊女の副店長が仕切っていた
「これより、遊女シリカの身請け式を執り行う。先程店主と身請け人との間にお金の授受を含め同意があった。これより身請け人と遊女の同輩の有無を確認する。冒険者晃よ、汝は遊女シリカの身請け人で相違ないな?よし。それでは証を。シリカの接吻を受け入れるが良い。うむ。次に主の証を左胸に刻むが良い」
晃はそっ背中に左手を回し、右手でその清らかな乳房を優しく撫でてから清めの酒を塗り、口に胸を当てる。舌が突起に当たりシリカのあっという呻きに晃は反応するもしっかり噛み付いた。もごもごと、ごめんねと言いながら。シリカの苦悶の声が聞こえるが、歯型を確認すると遊女達が白無垢を着せる。乳房からは当然血が出ていて、白無垢の胸の所が赤くなる。周りが着せていき、あっという間に下駄まで履いた。治療は遊郭のエリアを出るまで許されないそうだ。だから加減が大事なのだ。
「これにて遊女シリカの冒険者晃への身請けが終わり申した。シリカに幸あれ!そして晃よシリカを頼みますよ。我らと違いまだ汚れておりませぬから」
拍手が起こるとガブリエルが呆れ顔で来て
「お前なんで身請けなんぞしているんだ?」
「あのガブリエルさんが払ってくれた1000万が身請け金だそうで、彼女は身請け以外受け付けていないんだそうです」
「そうか。確かに額が多いなとは思ったが、なるほど。で、どうだった?しっかりやったか?アルテミス様に御礼がちゃんとできたか報告しないとだからな。」
「いえ、身請けの話になりましたので行為に至りませんでした。きれいな子をありがとうございます。物凄く感謝しています。」
「やってないのか。また女神様に叱られるな。なあ、後日アルテミス様にお礼を言いに来てやってくれ。但し夜は来るなよ。アルテミス様を抱きに来るなら別だが」
晃はきょとんとしていたが、遊郭の主だった者達を引き連れて花魁道中になった。身請け道中ともいう。晃は思う。中途飯場に遊郭のシステムが導入されていると。晃も医者がタイムスリップするドラマの知識しかないが、多分元ネタは同じだろうと。間取りや部屋の作りが見覚えがある。多分日本人が過去に転移して変に伝えたか、間違って伝承されたかなと感じていた。
やがて門の所に来たが、女将とシリカの胸の血を見て身請けだと分かり晃達を通した。門には多くの人が集まっており、オリオンの面子もいた。
女将は門番に手紙とお金、話をしていた。
「やべー団長って最高級店のしかも一番高い最上級を身請けしているぞ!あの人いくら持ってるんだよ!」
「見掛けによらず好みは良いし、手が早いな。よし、エニグマに教えてやろう!今日は修羅場だぞ!くくく」
等と話している者もいた。
また門の外には身請け道中をひと目見ようと、噂を聞きつけ来た者もいて、その中にエニグマ、レヴィ、ルーシー、ソレイユ、メアリーもいた。いちゃったのだ。偶々買い物で街に繰り出していると、再高級のの遊女が身請けされたと聞きつけ、野次馬根性でどんな奴なのか見てやろうとなった。
「案外晃だったりしてね」
「ないない。あんな奥手はみた事ないんだから、私達が迫っても胸を触ろうともしないのよ。女を買いになんてね」
「だからこそよ。女に免疫がなさすぎるからって、遊郭に行かないかってローランに前誘われてたわよ。向こうがリードしてくれるから、遊女で女慣れしようとしてるとか」
「あり得るわね。で、遊女になった経緯を聞いて可愛そうだとなり、じゃあ僕が身請けするから君は自由だとかね。晃君なら言い兼ねないわね」
「あっ、見えて来たわよ!うわ!めっさ綺麗やん」
「うわー負けそう。遊女ってあんなに奇麗なの?」
やがて背後に歩く身請け人の姿が見えるか、その様子を悔しそうに見ている一人の男がいた。
「なんでだよ。なんでだよ。僕がシリカを身請けするはずだったのに。折角1億揃えたのに!なんであんな小僧が!取り返してやる。俺が初めてを頂いて俺色に染めたかったのに。シリカが穢された!あいつの初めては俺が奪う筈だっのになんで他の奴とやるんだよ!くそー俺より先にやりやがって!禿の頃から目をつけていたのに。許さんぞ冒険者風情が!晃と言ったな!糞が!女将も同罪た!」
と唸る金持ちのボンボンが護衛の冒険者から晃の事を根掘り葉掘り聞いていた。あの日晃に暴行を加えていた者の一人であった。確かにソレイユには聞こえた。晃の名前が出るのを。そして遠目で顔は分からないが晃の特徴に一致するのを。ソレイユには独占欲がない。むしろここでポイントを稼いで、寵愛を得られるチャンスと行動を開始する。
「ごめんねレヴィ。用事を思い出しちゃった。それと今は修羅場を見たくないかな。またお屋敷でね」
とレヴィが首を傾げる中ソレイユは群衆を離れ、その男を尾行を開始するのであった。
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