第102話  今後

 メアリー副長がやれやれといった感じで


「さて痴話喧嘩はその辺にしておいて貰って、エニーの想い人と今後の事について真面目な話をしてもいいかな?」


 エニーが顔を真っ赤にしながらが抗議の声を上げようとしたが、温厚そうな副団長の瞳が黙れと物語るような冷たい目になりエニーは押し黙った。晃はエニーを人睨みにして黙らすなんて素敵だ!ああ、お姉さま!といった感じでメアリーを評価していた。


 そしてにっこりしながらエニーにありがとうといい話を再開した


「我々は救助隊が来るまでここで待つ方が良さそうでしょうか?」


「そうですね、実際問題今ここにいる中でまともに戦えるのが僕とレヴィしかいません。皆さんは今はレベルがありませんから一般人に毛の生えた程度で、1階層や2階層であればまだしも、この階層では皆さんを守りきれないので、やはりここで救助を待つのが得策かと思います」


「そうね。皆さんには申し訳ないですけども、ここでじっと耐えて待つ方が良さそうですね」


「そうですね。僕の所には今ダグラスさんが副長をして頂いています。彼はレベル8になり、おそらく彼が救助隊を率いて来る事になるかと思います」


「ダグラス様がいらっしゃるんですか?本当に本当ですか?」


 毅然とした副団長がまるで汚れを知らぬ少女のように目を輝かせていた。


「はい。彼の所属していた団も女神様が亡くなって、団長は後追い自殺だそうです。縁があり、ダグラスさんのパーティーと、若手のパーティーが今は僕の団に今はいます。あの、ダグラスとは知り合いですか?」


 くねくねしながらあっ、はい!そんな感じで返事をしていた。なんとなく想像はつくがあえて突っ込まなかっま。


「今後の事ですが、地上に戻った後私達はどうなるんでしょうか?」


「はい。ここを出るのにおそらく僕の所の女神イザベラ様と一旦契約をしてもらう事になると思います。そうしないとダンジョンを出られません。イザベラ様は誘拐されダンジョンに連れて来られてました。イザベラ様を救助する為にダンジョン来ていた僕が、エニー達が危機に陥ってるところにたまたま遭遇し、今に至ってます。幸いイザベラ様がダンジョンに居ますので、皆さんは女神と契約ができます。その後どうするかですが、そのまま三重芯団全てが僕のところにいて貰ってもいいです、僕のような若輩者の所にはいれないという事もあると思いますし、他の団に移って頂いても構いません。皆さんの選択にお任せしますので一度話し合ってもらった方が良いかと思います」


「いいんですか?我らを纏めて引き受けてくれる所があれば有り難いのです。私達の中には中々引き取ってくれないと思われる初心者が、それもレベル2とか3のとの者がいるんですよ。普通はそういった者の移籍というのは嫌うものですよ。


「僕は普通はどういうものかそもそも分からないですし、困っている人を見捨てるなんてできませんよ。別の所に行かれる方は快く送り出したいし、僕の団に入ったからといって何かしろというのはないですよ。またイザベラ様は女神様に支払う対価としては一番最低ランクを指定されるような方です。屋敷などの維持費があればそれでいいんです。なので今までと変わらずにいてもらえればいいかなと思います。入団を希望すればですけどね」


 そして救助が来るまでに最大1週間を見なくてはならず、晃とレヴィ以外はこのセーフエリアの中でひたすら大人しくする事にした。それと晃が全員に声をかけながらクリーンを掛けて回っていた。今いる中にクリーンを使える者がいなかった。水に関しては水魔法が使える者がいたので、ウォーターボールなどで飲み水を確保していた。また殆どの予備の装備や防具等を失っていた。41階層で急に女神の加護が消えて、そこから逃げる時に戦うのに必要のない予備武器なども含めて装備している分以外は全て捨て去って来たという。流石に食料だけは持ってきたが、遠征の帰り道にプラス1日位の余裕しかなかった。その為すぐに食料が尽きてしまったと言う。


 41階層は加護が切れた時に戦っていた者が数名命を落としてしまったが、それ以外は何とか逃げ切ったが、40階層で主に捕まってしまった。団長と有志の者数名がその場に残り食い止めている間に皆を逃がしてくれたと言う。その次のセーフエリアがこの38階層のここだったと言う。皆必死に逃げ、セーフエリアに来た時に、このままここで待っていても死ぬだけだという事が分かっていたので、即有志を募りエニー達が地上に向けての決死隊に志願し、送り出した。送り出した数分後に40階層の主が現れて、セーフエリアを出れなくなってしまったというのだ。間一髪できゅうじょを求めに送り出したのだそうだ。


 メアリー副団長は皆に話し始めた。希望するなら自分達をを丸ごと引き受けてくれると。既に皆はもう自分達の女神はもうこの世にいないという事は理解できていた。加護がなくなるという事はそういう異なるだからである。過去に何例か有るのだ。また他の団に移りたい場合も快く送り出してくれるので、ダンジョンを出てから2週間、この間に去就を決めるように説明してくれていたのであった。

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