「頑張ってる」

 私は自分の職歴を話すことが、すごく嫌で仕方ありませんでした。何をやっても続かない、こんな単純なことすらできないと叱責された記憶が自分を責めるからです。


 その職歴の多さは、私が望んだものではありませんでした。両親に勘当され、一人でも生きていかなくてはならないからと、精神のバランスを崩し、何度も自殺を考えながらも食らいついて続けたものばかりです。


 中には、私に嫌がらせをするために職場の上司が私の同僚にストーカー行為を行っていたこともありました。私と彼女が話していただけで、深夜に彼女のところに電話がかかってきて、話した内容を根掘り葉掘り聞き出していたそうです。他にも彼女をお客さんや他の従業員の前で激しく怒鳴ったりと、彼女を精神的に追い込み、彼女はパニック障害になってしまいました。

 私のせいなのかと悩み、私は職場で孤立することを選びました。辞めることも考えたのですが、彼女が私を引き止めてくれました。あなたは悪くないと。

 ですが、彼女に誘われて食事をするだけでもお互いが嫌がらせをされることに耐えられなくて、結局私は退職しました。退職したらもう咎められることはないと思っていたのに、残った彼女は隠れて私と会っている、と嫌がらせを受けていました。そうして、私は彼女と会うことをやめました。その間たったの四ヶ月です。その間にそれだけのことがありました。


 ですが、そんな短期間で仕事を辞めると、世間の目は厳しいです。私の根性がないから、堪え性がない。それももっともだと思います。だから私は、辞めた理由は語らずにきました。全ては自分が招いたことだからと。


 自分に優しくしてくれた人たちが追い込まれていくのを見るのはすごく辛いです。それが自分のせいだとなると尚更。


 だから厳しい現状に甘んじるのも私の責任だと我慢するのが当たり前だと思ってきました。


 ですが、先日リアルで話しました。信じてくれなくてもそれでいい。どうせ私はいい加減な人間だからと前置きして。


 ところが、その方は私の話を聞いてくださり、仰ってくださいました。


「あなたがどれだけ頑張っているかはわかっていますよ」と。


 私は頑張っていても、他の方々と比べると遥かに能力が劣ります。だからこそ、手を抜くことができず、過労になってしまいがちです。それでも手を抜いていると思われがちなので、「頑張ってる」と認めてもらえるのは嬉しいなと、温かい気持ちになりました。

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