争いの鐘は止み、平穏が帰還する

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終結、そして


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 異世界人の侵略があった日から数日後。



 エイジは魔王城の『謁見の間』にいた。


 魔王の一撃で吹き飛ばされた後、瓦礫の下に埋まっていたが魔族に掘り起こされ今日まで牢屋で過ごしていた。


 謁見の間は奥行きがかなりある大部屋で、奥に巨大な椅子が置いてあり、天井にはシャンデリアが等間隔で釣らされている。両側の壁には目立った装飾は無いが、天井との間に窓が並んでいる。


 エイジを挟むようにして十二魔将を始め、幹部と思わしき魔族達が集結していた。


「(……俺、どうなるのかな……)」


 交通事故で死に、女神の言う通りにこちらの世界に来たが、結局何もできずに魔族に捕えれられてしまった。使えるスキルも『ジュース作成』しかなく、『女神の加護』は無くなっていた。


 これからどうなるのか、先の見えない不安で立ち尽くしていた。


「魔王様のお成りである!」


 マリーナが大声で言うと、その場にいる魔族全員が跪き、首を垂れた。


 謁見の間の奥の袖から魔王が現れた。その隣には桃色の髪でフワフワとした濃密な綿毛を集めた様な中世貴族風のドレスを着た麗しい女性が立っている。


 魔王は巨大な椅子に座った。


「皆、面を上げよ」


 魔族達は少し頭を上げた。エイジは作法を知らないため、何もできずに動けないでいた。


「エイジと言ったか、単刀直入に聞こう」


 魔王はエイジに質問する。


「お主、これからどう生きたい?」



 ・・・・・・



 4時間後



 魔王は書斎で書類の手続きや報告書の作成を行っていた。


 本来なら反逆罪等で処刑できるが、特に罪を犯していなかったり、逆に協力的だった者もいたため罰は与えず、監視する方向で決定した。


 残った異世界人全員と顔を合わせ、希望を聞いた。最初は困惑していたが、時間が経つにつれ希望を言ってくれた。久し振りに謁見をしたので時間がかかってしまった。


 書類仕事を全て終わらせ、少しだけ椅子にもたれかかり休憩する。


「お疲れ様です。魔王様」


 桃色の髪の女性が魔王の机にハーブティーを置く。


「ハーブティーか。気が利くな『サクラ』」


「当然の事をしたまでです」


 魔王の秘書であるサクラは一礼する。魔王はハーブティーを飲みながら窓の外の風景を見る。


「十二魔将の皆、生き残ってくれて何よりだ」


「重傷者はいましたが、命に別状も無く障害も起こりませんでした。本当に良かったです」


「『七つの冠セブンスクラウン』達にも礼を言わねばな、我の無茶をよく聞いてくれたものだ」


 

 『七つの冠セブンスクラウン


 十二魔将と同じ魔王直下の組織であり、実力、知力共に非常に優秀で、次期魔王候補として有力視されている7名で編成されている。


 戦闘力だけでも十二魔将よりも遥かに上で、1名だけで大陸一つ滅ぼせる強さを有している。



 カイトとの戦闘中に七つの冠達に連絡を入れ、各自対応に当たる様指示を出していたのだ。


 転移してくる地点は各自で把握してもらい、問答無用で迎撃してもらうという無茶な内容ではあったが、無事にこなしてくれた。


「後で個別で訪問せねばな」


「出立の際は私も同行します。取り巻きの相手はお任せ下さい」


「ああ、頼む」


 ハーブティーを飲み干し、席から立ち上がる。


「ではこれから各地の視察へ向かう。何かあればすぐに連絡を入れよ」


「仰せのままに」


 サクラは頭を下げて魔王を見送った。




 魔族領に平穏の日々が戻り、戦いは終わりを告げた。


 魔族領は、今日も平和である。




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お読みいただきありがとうございました。


これにて『異世界からの侵略者』編、完結となります!


約40部に渡る長い戦いにお付き合いいただきありがとうございました。


次回からは新章『七つの冠』編になります。

お楽しみに。


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