第52話
【ルッカ視点】
「嘘だ……」
由布子と穏やかなティータイム中に緊急の使者がやって来たと告げられ応接室に出向いたルッカが使者から告げられた事に現実を受け入れられずにいた。
「全て事実でございます。出来うる限り早い登城をお願いいたします。」
そう言うと使者は退席したのだがルッカは椅子から立ち上がれずにいた。
それほど告げられた事は衝撃的な事だったのだ。
王位継承権1位の従兄弟が亡くなったという連絡だったのだ。
自分が継承位2位なのは公爵の兄は母違いで自分の母は後妻だったため兄は継承位が一応あるが弟より下になると言う形になっているが従兄弟がなくなるなんて思っていなかった為伯爵家を継いだというのに、困ったことになった。
とりあえず詳しい事は王城でと言うから急ぎ王都に向かわなければならないが、王都までの憂鬱な旅路が唯一ユーコの開発してくれた馬車がある為マシという程度だな。
それにユーコに逢えなくなる事、彼女をいつか妻にしたいと思っていた事が難しくなるその事実を思わず見ないふりしたい気分を抱えつつ、留守にする手配を急ぎするのだった。
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緊急のお話ということでルッカ様が別室に呼ばれて言ってしまった事に寂しさを感じるなんておこがましいわ。
歳はそこまで変わらないけれどもでもコッチは異世界人しかも子持ち、彼はこの世界での王族の血縁で伯爵様だし彼も好意を向けてくれるけれども応える訳には行かないし、愛人とかは絶対嫌だわ。
ソレにお貴族様の奥様とか普通に無理だと思うのよ。
公爵家にお世話になっている間にお茶会のマナーや貴族の淑女教育を受けさせてもらったけれども本当に料理人として対面した時に恥ずかしくない程度にしか身についていないので…って私ったらそんなことになる可能性も無いのに思い上がってしまっているわね。
とにかくこのまま私のお料理をルッカ様に美味しいと食べて頂ける日が続く限りは傍に居ようと思うのよ。彼が奥様を迎える時にタスマニアさんを頼ってどこかで家を買ってのんびり弟子を育てる生活も楽しそうだわ。
ちなみに資産は発明品や砂糖で贅沢しても人生が3回ほど生活出来る資産が出来てしまっているのよね。
この世界に来るきっかけの極貧生活が嘘のようでのんびり咲百合の子育てが出来るようになっている事が幸せを感じつつ不思議な感じになるの。
毎夜のサンクート様へのお祈りはもちろん欠かさないし、時々お声掛けてもらえるのでそうやってゆっくり過ごせばいいのよね。きっと…
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ちょっと!由布子ったら私の加護が有るんだから王妃にだってなれるし貴女には幸せになって欲しいのよ…
由布子の葛藤を覗いてしまったサンクートは由布子とルッカの苦悩をどう解消するべきか色々考え始めるのだった。
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