第2話

ひとまずアイテムBOXの中を確認する。


・金貨10枚

・銀貨50枚

・銅貨50枚

・素敵な料理道具セット【但しこの世界にあるモノの質の良いもの】

・着替え一式親子数日分が入った荷物袋

・マルクートで生息するハーブの種セット

・初めてのハーブ【育てかたが書いてある本です】

・日本での所持バック【思い出のある物もあると思うので入れておきましたがこの世界には無いものもあるので人前には出さないように!】

・手紙


ん?手紙???サンクート様からだ!

『伝え忘れましたが、異世界召喚を行った事のある国が有りますのであまり異世界から来た事をあまり言わない方がいいと思います。軟禁されて使い潰される可能性があるので田舎から旦那が無くなって仕事を探しに来た未亡人としておくのをオススメします。山奥なので世間知らずで…としておけば大抵の事はなんとかなると思いますよ。』


なるほど、さすがにそこまでは考えてなかったのでサンクート様に感謝だ。

お世話になったし、この世界で安定した生活が出来るようになったらお礼を言いに神殿に行くとしよう。


アイテムBOXから荷物袋と少しのお金をだしていると、

「うーん、ままぁ?ココどこ?」

寝ていた娘が起きた。

「さーちゃん、コレから新しい街で新しいお家を探して生活するんだよ。」

まだ幼い娘にとって日本での記憶はきっとスグに忘れるだろう。まだ3歳だし、アレコレ説明しなくて済むうちにココに来れて良かったのかもしれない。

「もうこわいひといない?」

少しトラウマにさせてしまった事が心苦しい、サンクート様いわく時間をかけてゆっくり日本の記憶を忘れるようにはしてくれているらしい。

まぁ元々これくらいの子供は自然と忘れていく年頃でもあるのでそれに合わせて思い出さないようにすると言っていたので心配はないようで良かったわ。

でも、1部の記憶だけ無くすのに一気にやると心が壊れてしまうかもしれないのでと言っていたし焦らず様子を見ることにしよう。


「さーちゃん、あそこに見えている街までママは行くけどさーちゃんも一緒に行こうね。」


遠くに大きな街を囲むような塀が見えている、そこがマルルの街らしいのでひとまずゆっくり歩き出す。


しばらくすると、舗装された道に出たので歩きやすくなった。

そう言えば服装もこの世界に合わせて変わっているが靴も変わっていてサンダルのような足がむき出しの靴を履いていた。

だからなのか歩いていると疲れやすく咲百合は既に疲れて背中で眠ってしまった。


そんな時後ろから馬の蹄のような音が聞こえ

振り返ると少し離れたところから馬車がやって来た。

ぶつかると危ないので舗装された道から降り避けるが少し手前で止まった。


「おーい!こんな所を歩いていてどうしたんだい?」

馬車の御者が私たちに声をかけてくれた。


「田舎から仕事を探しに出てきたんです。」

早速だけどサンクート様に言われた設定を使う。


「もし良かったらマルルの街まで乗っていくかい?おチビちゃんにもその方がいいだろうし」

とりあえず怪しまれなくて内心ほっとする。


「ありがとうございます、お言葉に甘えてお邪魔します。」


警戒しないのかって?

コレもサンクート様に貰った転移特典の鑑定スキルをこっそり使ってどんな人か見極めたのだ。

本当は鑑定を、人に向けるのは失礼らしいし、相手にバレるものらしいけれどもサンクート様特製鑑定はバレないそうなので、この世界に慣れるまではもうしわけないけれども割り切ってこっそり鑑定させてもらうことにする。


「ところでマルルの街で仕事のアテはあるのかい?」

馬車の御者さん改め行商人のサムジェスさんはマルルの街について色々と教えてくれたあと聞いてきた。


「正直アテは無いんです。精霊のヤドリギと言う宿屋が評判の良いのでオススメと聞いているのでひとまずそちらに行ってみてから仕事を探そうかと思っています。」



サンクート様にオススメされた宿屋には1度行ってみないとね。今後の生活の手助けになる何かが多分あると思うし。


「妖精のヤドリギかぁ!アソコは老夫婦がやっていて過ごしやすい良い宿だよ!俺も時々利用するんだけどさ、食事がなぁ…」


どうやら雰囲気もよく素敵な宿屋なのに食事が残念らしく他の宿がいっぱいの時に使う人が多いみたい。

「そうなんですね、色々教えてくれてありがとうございます。あの、街にはいるのに必要な物って有りますか?」

異世界転移モノでよく最初の街で身分証明書ご無いと入れないとか滞在料がかかるって言うのが定番だし、マルルの街も何かあるのかもしれない。


「あー、そっか田舎から出てきたんだっけ?本来なら村長とかが書いてくれる身分証明書が有るんだけど逃げてきたなら持ってないよね…」

夫が亡くなって村長の息子に無理やり愛人にされそうになって娘を連れて逃げ出したと言うことにしてみた(笑)そうしたら必要以上の詮索もされ無さそうだしね。


「よし!俺の手伝いでって言えば入れるから街に行ったらどこかしらのギルドで身分証明書は作っておくといいよ。」

そうしてサムジェスさんのお陰で無事に街の中に入る事が出来たのは本当に助かったわ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る