3.4.23 蓮花(1)(イザベル)

物語はシャーロット一行がシュバイツ伯爵領の主都へ向けて南下する時に戻る。


――王国歴 301年 初夏 イストマル王国 第一王女一行


「ねえ、あの赤い鱗の魔騎竜アリオラムスに騎乗している人は誰?」

イザベルはフィーナに近づき小声で問いかける。


「あら、イザベル、ご機嫌よう。あの方はラクシャ殿です」

フィーナは彼女に挨拶すると素気なく答える。


「フィーナはいつもお人形さんみたいに無表情ね。ほっぺは柔らかいのに」

「くすぐったいのでやめるのです。イザベルはときどき意地悪さんですね」

イザベルがフィーナのほっぺを優しくつねると彼女はつねられたまま文句を言う。


 イザベルは戦役中にアルビオン騎士団に転属された白エルフの中尉だ。ララファ、フィーナ隊に編入され、フィーナと戦場を共にした。二人はすぐに意気投合し、今では冗談を言い合う仲だ。


「あの人、素敵だわ。団長も悪くはないけど、彼には気品があるわね」

「そうかしら? 私はキリル様一筋なのでよくわからないです」

「キリル様というのは……」


 二人が会話を続ける頭上には青空が広がり、浮遊島が浮かんでいた。


――イザベルの実家


 イザベルの実家は王都の外れにある小さな家だ。幼い頃に父親を亡くした彼女は母親と二人で暮らしている。王都に到着してから、彼女は自宅休暇を与えられ、母親のいる実家で過ごしていた。


 実家に帰宅して以来、二人は最低限の会話しかしていない。その日もお互いに無言のままで朝食を食べていた。食事を終えて早々に立ち去ろうとする彼女へ母親が声を掛ける。


「……イザベル、お館様から手紙が届いているわ」

母親は俯いたまま、長机の上を滑らし手紙を渡す。


 彼女は母親を睨みつけ、手紙を受け取り無造作に封を解く。そして、苦々しい顔をして手紙を破きながら席を立ち、出口へと向かう。


「イ、イザベル……ごめんなさい」

母親の謝罪に振り替えることなく扉を開け、家を後にした。


――シュバイツ伯爵の私室


 イザベルはシュバイツ伯爵邸に裏口から入る。侍女達の成すがままに身体を清められ、化粧を施される。寝間着ネグリジェを着せられ、シュバイツ伯爵の私室へと通された。


「戦役ご苦労と言いたいところだが……キュトラが妊娠するどういうことだ? お前には娘への監視役を命じていたはずだ」


 シュバイツ伯爵がイザベルを叱責する。彼女は俯き、何も喋ろうとしない。


「これはお仕置きが必要だな。そこに四つん這いになり、尻を上げろ」


 彼が魔法を唱えるとイザベルの首に鎖の痣が赤く浮かび上がる。目に見えない力に抑え込まれるように彼女は床に這いつくばる。


「似ているな……お前の母親、そうだ父親も頑固だった。ふふふ……」

父親という言葉を聞き、彼を睨みつけようとした瞬間、臀部に痛みが走る。


「パン、パン、バチン」、シュバイツ伯爵は寝間着の裾をたくし上げると臀部を叩き始めた。白く丸みを帯びた臀部が叩かれるたびに震え、赤く染まる。彼の冷徹な瞳の奥に嗜虐の炎が宿る。


 イザベルは俯いたまま唇を噛みしめながら耐えている。キュトラとザエラの仲を知らない者など部隊内でいない。ただ、伯爵令嬢を止める信頼関係も手段も彼女は持ち合わせていなかった。


「売女と罪人の娘が生意気な。今日は特別なお仕置きを用意している……麿官油の特上品が入手できてな。これまでとは桁違いに飛ぶぞ」


「キュポン」、蓋を開ける音がすると彼女の赤く腫れた臀部の割れ目から愛液が滴り落ちる。


「……それだけはやめてください」

「だめだ。たっぷりと塗り付けてやろう」


 今日初めて声に出して嫌がる彼女を嬉しそうに見ながら、麿官油を手に取り、彼女の膣の奥深くへと指を差し込む。


「ふう、襞が指に絡みつく。この感触は堪らないな。お前も存分に味わうといい」

指の感触を楽しむように目を閉じて、全体にまんべんなく塗り込んでいく。


「あぁ、ああん、はぁあ、あああー」

彼女の喘ぎ声が次第に大きくなる。


「おい、理性を失う前に次の命令だ。アルビオン騎士団長を監視し、弱みを握れ……何なら殺しても構わん。お前の部隊を奴に提供する手はずだ。おい、わかったか? 返事をしろ」

彼女の髪を掴み上げ、顔を自分に方に向けさせる。


「わかりました、わかりましたから……今すぐ挿入れてください」


 涙を流して懇願する彼女の顔を見て、満足そうに髪の毛を離す。彼女の首の鎖の痣が赤く光る。


 彼は麿官油を自らの男根に塗り付けて彼女へと覆いかぶさると、

「あと、私の神聖な体液は一滴もこぼすなよ」

と耳元で囁きながら腰を振り始めた。


――翌早朝 イザベルの実家


 イザベルが目を覚ますと自宅のベットにいた。身体が重く、倦怠感が全身を包む。彼に招集されたときのお決まりだ。彼の邸宅から運び出されているのか、自分の足で帰宅したのかすらわからない。


「私は死ぬまで彼の奴隷なのかしら?……だめ、深く考えるのはやめるのよ」

自問自答をしながら彼女は頭を左右に振り、ベットから起き上がる。


「そんなことを考える前に、早く身体を清めて、生命魔法で受胎を止めないと」

朦朧とする頭と臀部の痛みを抑えて浴室へと向かう。


◇ ◇ ◇ ◇


 イザベルは浴室に入ると、水樽から手桶で水を汲み、頭から掛ける。そして、下腹部に力を入れるとトロリと膣内を下がり、生暖かい液体が股から流れ落ちた。……麿官油と彼の体液の匂いが浴室に広がる。


「う、ううぅ」

彼女は咽び泣きながら、手桶の水を何度も股に掛けた。

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