今田の「魔娑斗とドッペル」
@1mada
まえがき
ドッペルと生きる
ドッペルゲンガーに会うと死ぬ。
そう言われていた時代は終わった。いまはドッペルゲンガーたちと仲良くやっていく時代である。たしかに自分とまったく同じ姿をした者がうろうろしているとなんだか怖い。でもべつに死ななくたっていいか。誰かがそう言って、実際そうなった。
とはいえやっぱりドッペル怖いなー、と、この話に出てくる魔裟斗という名の青年も怯えている。喫茶店に病院に湖の対岸に、魔裟斗のドッペルゲンガーはまさに神出鬼没。怖い。いや、怖いというよりなんだか不気味なのだ。自分にうりふたつな者の存在や行動が不気味で仕方ないのだ。
だが、魔娑斗はその恐怖の矛先をドッペルゲンガー自体に向けることはせず、あくまで「自分とはなにか」を考えはじめる。
自分とドッペルを分けるものはなにか。ドッペルをドッペルと呼べる根拠とはなにか。そもそも、自分自身がドッペルのドッペルなのでは……彼はドッペルのことを憎んだりしているわけではない。ましてその存在を消そうなどと思ったりはしない。
ドッペルゲンガーに会うと死ぬ。そう言われていた時代は終わり、いまはドッペルゲンガーと仲良くやっていく時代なのだ。事実、魔娑斗はドッペルゲンガーのことを親愛を込めてこう呼びはじめている。
ドッペル。
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