つみかん
@amauya
第0話
「ひとつだけ確認していい?」
夜空を眺めながらミレアは尋ねた。
「なんだい」
レイメイはミレアの方を向いたが、ミレアは振り向かず夜空を眺めていた。
「私が居なくなったあと、ミノの事守ってくれる?」
「あぁ、守るよ君に代わって」
ミレアは夜空から目を離しレイメイと向き合った。
その顔には涙が流れていた。
「ありがとう。優しいねレイメイは…」
涙を流しながらミレアは微笑んだ。流す涙を指ですくいミレアの体をそっと抱き寄せた。
「なんなら、もう一度約束しようか?君の妹の笑顔を必ず守ると」
ミレアは何も言わずただ、抱きしめる力を強くした。
「黎明おきろ。準備できてるぞ」
湊の声で黎明は夢の世界から戻ってきた。
目の前には刀を携えた立花湊と雪見だいふくを食す雪音の姿があった。
「ふぁひふぁいへぇふぅんふぁ?」
口の中に物を入れながら話した為に何を言ってるか一切分からない雪音に対し
「口に物を入れてる時は喋らないでください行儀悪いですから」
そう注意し立ち上がった時、水の雫が床に落ちた。頬に手を当てると目尻から一筋の涙の道ができていた。
あぁ、さっき雪音が言いたかったのは「何泣いてるんだ?」ですかね。泣くなんてこと何時ぶりでしょう。久しく泣いてませんでしたから。
「大丈夫か?怖い夢でも見たか?」
湊が心配そうにティッシュを差し出してくれた。
「怖い夢で泣くなんて事私はしませんよ。恐らくこの涙は嬉し涙でしょうか。」
差し出されたティッシュを受け取り涙を吹き、泣くのはこれで最後だと心に誓い、充血した赤い眼を見開き黎明は影のゲートを作り出した。
「さぁ、最終決戦です。泣いても笑ってもこれで決着です」
湊は携えた刀を手を添え、雪音は食べ終えたゴミをゴミ箱に捨て、黎明は目薬をさしゲートに足を踏み入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます