第526話 「生きろ」それが御意思だ

「日本といえば神風でしょ?」 

  「うん」

「特攻精神もあるね」

  「そうそう」

「あれ、御子の精神?」

  「真似るべきか聞いてるの?」

「うん」


・・・

戦争の狂乱で日本が編み出したのは、「神風」と名付けた特攻精神だった。


「肉弾三勇士」も、有名な自爆精神だ。


それは「御子の精神」?

だから、真似るべきだろうか?


そうではない。

「羊飼い」と「羊」を混同してはならない。


聖句から読み取ろう。




ヨハネ10章(羊飼いの精神)

よくよくあなたがたに言っておく。羊の囲いにはいるのに、門からでなく、ほかの所からのりこえて来る者は、盗人であり、強盗である。

2 門からはいる者は、羊の羊飼である。

3 門番は彼のために門を開き、羊は彼の声を聞く。そして彼は自分の羊の名をよんで連れ出す。

4 自分の羊をみな出してしまうと、彼は羊の先頭に立って行く。羊はその声を知っているので、彼について行くのである。

5 ほかの人には、ついて行かないで逃げ去る。その人の声を知らないからである」。

6 イエスは彼らにこの比喩を話されたが、彼らは自分たちにお話しになっているのが何のことだか、わからなかった。

7 そこで、イエスはまた言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。わたしは羊の門である。

8 わたしよりも前にきた人は、みな盗人であり、強盗である。羊は彼らに聞き従わなかった。

9 わたしは門である。わたしをとおってはいる者は救われ、また出入りし、牧草にありつくであろう。

10 盗人が来るのは、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするためにほかならない。わたしがきたのは、羊に命を得させ、豊かに得させるためである。

11 わたしはよい羊飼である。よい羊飼は、羊のために命を捨てる。




「羊に命を得させる」


それが羊飼い。


日本の祭りでは、先頭を行く「神輿」が、「羊飼いイエス」を意味する雛形である。


行列に連なる人々は、「羊」とされている。



10節で、こう書かれている。



→ わたしがきたのは、羊に命を得させ、豊かに得させるためである。



イエスは羊を「生かす」ために来た「良い羊飼い」なのだ。



11 わたしはよい羊飼である。よい羊飼は、羊のために命を捨てる。



他方、偽の羊飼いは・・・



12 羊飼ではなく、羊が自分のものでもない雇人は、おおかみが来るのを見ると、羊をすてて逃げ去る。そして、おおかみは羊を奪い、また追い散らす。

13 彼は雇人であって、羊のことを心にかけていないからである。




12節の「おおかみ」には、人間の指導者に向けた深意が隠されているかに思えた。


→ 大神


つまり、神に化けた強い鬼である。


聖書では「赤い龍」という表現が当て嵌まるだろう。


本物の羊飼いを目指す指導者なら、その鬼とも戦うはずである。


「特攻で死ね」と羊に告げる主人は、本物じゃない。


例え戦争であっても、言うだろう。


「死ぬな」「生き延びろ」


もしイエスが神の座にいたら、戦争そのものが回避されていたはずだ。


敵がいくら撹乱しようとしても、それはイエスに問題ではない。



「立派に死んでこい」というセリフは、武士の持っていた精神かも知れないが、


それはイエス以前(旧約の時代)のものである。


この頃、指導を行っていたのは「前の神」であり、いつも選民に付き纏っていた。


イエスの時代を過ぎても、隙きがあればすぐ侵入し、イエスの精神と羊の立場を混同させてしまうのだ。




14 わたしはよい羊飼であって、わたしの羊を知り、わたしの羊はまた、わたしを知っている。

15 それはちょうど、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。そして、わたしは羊のために命を捨てるのである。



イエスは美しい精神を持ち、羊が安心して従える主人である。


しかし、羊を消耗品のように扱い、護ろうとしない偽の羊飼いが仕切る時、「命を散らせ」と教えるようになる。



そんな偽者に騙されてはならない。


「生きろ」


それが御意志なのである。


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