第68話 一緒に写真を

 俺は、部屋着に着替え終わると、リビングへと降りた。

紗良は、リビングで『魔法学園の最強賢者』の録画を見ていた。


「お、録画してたんだな」

「もちろんです! 兄さんが関わっているアニメですから!」


 紗良は、何故か胸を張っている。

ちなみに、アニメは今3話まで放送されている。


「ところで兄さん、明日は何か用事がありますか?」

「明日は、特に何も無かったな」


 明日は日曜日だ。

学校は休みだし、作業は終わるめどはある。


「じゃあ、お出かけしましょ?」

「ああ、それは構わないがどこに行くんだ?」


 紗良の屈託の無い笑顔を笑顔を向けられたら、断れるわけがあるまい。


「ゲームセンターです!!」

「おお、紗良も行くんだな」


 紗良は、あんまりそういう所に行くイメージは無かった為、正直意外だった。


「はい、UFOキャッチャーとかやりたいっていのもありますが、その……」


 紗良が、照れたような表情を浮かべていた。


「ん? どうした?」

「兄さんと、あんまり写真撮ってないなって」


 確かに、紗良とは色々な所に出かけてきたが、写真を撮るということは少なかった気がする。

男ってあんまり写真とかは撮らない気がする。

まあ、俺だけかもしれないが。


「ああ、確かにそうだな」

「だから、兄さんとプリクラ撮りたいと思いまして……」


 紗良は、どこか遠慮がちに言った。


「いいよ。行こうか」


 俺は、二つ返事でオッケーした。


「本当ですか!? 楽しみにしています!!」


 紗良の表情が一気に明るくなった。

よほど嬉しかったのだろう。


「おうよ、俺も楽しみにしているよ」


 そう言うと、俺は紗良の頭をそっと撫でた。


「じゃあ、私はお風呂に入ってきます」

「はいよー」


 紗良は、鼻歌交じりにお風呂場へと向かって言った。

随分と上機嫌である。



* * *



「おはよー」

「おはようございます」


 翌日、いつもよりは少し遅い時間に目を覚ました。

紗良は既に、起きていた。


「兄さん、朝食出来ていますよ」

「お、ありいがとう」


 紗良は、朝食を作ってくれていた。

トーストに目玉焼き、コーンスープだった。

朝食と言えばこれだな。


「「いただきます」」


 俺たちは手を合わせると、二人で朝食を取った。


「さて、そろそろ行きますかね」

「はい、そうしましょう」


 朝食を食べ終え、片付けを済ませると、紗良に言った。


「着替えましょうか」

「おう」


 そう言うと、二人は着替えるべく自分の部屋へともとっだ。


「これにするか」


 俺は、黒のYシャツにジーンズを履いた。


「兄さん、お待たせしちゃいました」


 紗良は、白のワンピースに薄っすらとメイクをし、黒髪は後ろでポニーテールにしていた。

凄く可愛い。


「今日はその髪型なんだね」

「はい、兄さんが好きだと聞きまして」


 いや、なぜ知っている。

確かに好きだけどさ。


「ありがとう。じゃあ、行こうか」


 俺は、財布とスマホをポケットに突っ込むと、玄関に向かった。

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