第39話 返り討ち戦争
「いんや~、驚いたなあ~、セカイくんがまさか……私が触れている間だけは体が治ってエッチ平気になるとか……って、私ってどういう体質なの!?」
理屈は分からない。でも、なんかそういうことらしい。
「謎ではありますが……セカイは、シャイニに性的興奮を覚えない……というよりは、体調悪化を起こさない……ということのようですが……むぅ~」
「さらに言えば、シャイニが傍に居て触れている間は……ダーリンはエッチなことも問題なくなって……シャイニの存在によって中和されてるのか、相殺されているのか分からないけど……ぷんだ!」
なんで!? なんで私にそんな癒し特殊能力があるの!?
自分でも知らなくてビックリなんだけど!?
「なんつーか……聖勇者の娘であることとなんか関係あんのか?」
「わかんないよぉ! だってこんなの初めてだし! ……初めてだし……」
本来なら頭を抱えてこの謎について考えて、なんならお父さんたちに直接問いただしてもいいかもしんない。
でも、今はそれどころじゃない。
だって……
「あ~、えっと……ところで、セカイくん……その……あの~」
「……ああん? 仕方ねぇだろ、我慢しろ」
「う~ん……これ、やりすぎじゃない?」
「そんなことねぇよ。だって、これで俺は月末までの寸止め戦争ゲームで一つの課題をクリアできるわけだからよ」
「そ、そうなのかもだけど……視線が……身内から……というか、私の身が危険と言いますか……私も恥ずかしいというか……」
そう、今の私……セカイくんと並んで、肩を抱き寄せられながら教室に向かっている。
当然周囲からは注目されるし、何よりも……
「むぅ、シャイニ……羨ましい……」
「ダーリン、あとで私には……お、お姫様だっこしなさいよね!」
セカイくんラブなアネストちゃんとディーちゃんからの嫉妬がビシビシと怖いのだ。
「月末までだ」
「ながいよ、あと何日あると!?」
そう、私は今後学校内でのたいていの時間をこうやってセカイくんと触れ合って移動することになっているのだ。
傍から見れば、ラブラブカップルだよね。
まぁ、私も逞しい男の子とこうやって恋人みたいに並んで歩くの、悪い気はしないと思ってたよ。最初は。
でも、今は幼馴染二人からの殺意の籠った目が痛い。
「さてと……」
そして、私たちは教室の前に辿り着いた。
昼休み終わりで、このままグループワークになって、本来ならもう皆教室には戻らないでそのまま図書館とか学外とか、なんなら家に帰る子もいる。
でも、今の期間は……
「おるああああああ!」
セカイくんが勢いよく教室の扉を開けた瞬間……
「「「「「キタッッ!! かかれええええええ!!」」」」」
セカイくんが来るのを心待ちにしていたクラスメートたちが目を光らせ、一斉に配置について襲い掛かってくる。
そう、セカイくんが校長先生と色々と交渉して今年からシステムが変わってしまった合成魔法発表会……それを、これまでのゆるいシステムに戻すための戦い……
「男子は目隠しッッ!!」
「「「「おうっ!!!!」」」」
まず、クラスの男の子全員が手ぬぐいのようなもので目を覆う。これで男子全員の視界を奪い……
「よし、女子は脱衣行くわよ!!」
「「「「うんっ!!」」」」
「全裸部隊もセカイくんにパンティーとブラを投げつけちゃいな♡」
「さーて、セカイくん♡ あーしらに敗北認めてくれたら、良い想いさせてやんよ~♡」
「どうしても脱ぎたくない子は、せめてスカートたくし上げてパンチラサポートを!」
「「「は、はいィ」」」
十代の麗しき制服少女たちが、少し照れながらも開き直って一斉にブレザーを投げ捨て、シャツのボタンをはずして、スカートを降ろし、教室には下着姿や裸の女生徒たちで溢れる光景。
子供みたいな猫や熊さんのパンツだったり、大人っぽいスケスケのパンツやブラだったり、中には自分の体に自信があったりする子なんてブラもパンツも脱ぎ捨ててプルンプルンの肌を晒してセカイくんに見せつける。
「なんと、さっそく……私も早くセカイに全部見せたいのに……」
「まったく、皆して私より早くダーリンに裸を見せるなんて……」
って、おいおい二人まで脱ぐ気満々かい!?
とはいえ、これは何も私のクラスが変態さんたちになったわけじゃなく……いや……
「えへへへ、セカイくん、見て~、これさ、お気になの。かわいくない? ピンクで~す♡」
「なんかさ、最初は凄い恥ずかしかなって思ったけど、教室の中で目隠ししているとはいえ男子もいる中で裸になるって……」
「なんか癖になっちゃうね♡」
いや、なんかもう手遅れになりかけているけど……でも、これはこういう作戦なわけ。
「さぁ、セカイくん、あーしらの裸を見てゲーゲーしな! んで、男子! 合図したら一斉に! ほーれ、セカイくん、くぱぁ♡」
「え、えへへ、セカイくん、あのね、ローリのココね、いけないことになってるの♡」
「負けを認めてくれたら~、おっぱいちょっとだけなら食べてもいいよ~♡」
「っていうか、なんなら本番まで―――♡」
そう、エッチがダメなセカイくんをこれで弱体化し、そしてあとは一斉に襲い掛かるという必勝法。
まさに、プロジェクト・ネイキッド。
確かにセカイくんにはこの作戦が効果的だった……今までなら。
でも、今は……
「カカカカ……経験済みも未経験な小娘共も……後悔しても知らねえぞ?」
本来ならゲーゲーするセカイくんが、今はニタニタ笑いながら私を更に抱き寄せてそう言い放つ。
「「「「「ッッッ!!??」」」」」
「え? どうなってんだ、女子!? セカイくんの声、なんだか調子良さそうだぞ? みんなまだ脱いでないの?」
私が触れている間はエッチが大丈夫になるどころか、股間のセカイくんまで元気良くなる。
「襲い掛かってきてもいいぜ? ただし、反撃するけどな」
うおぉぉぉぉお、もうセカイくんのセカイくん、やっぱでけえええええ!?
「え? うそ、どういう? うわ、な、で、でか?!」
「ひっ、ど、どういうこと? あ、あれ? うわっ!?」
「え? 何で? え? あの、わ……わ……」
そして、これまでと違ってまるでお色気ダメージのないセカイくんに女の子たちが戸惑う中……
「まずは目隠しした男子共……俺相手に目を瞑ってどうにかしようなんて千年早い。ま、それで俺と多少なりとも戦えるようになれば、もっと強くなるだろうが……まずは、出直してきな!」
「「「「「ッッッ!!!???」」」」」
まさに、一瞬の出来事。
セカイくんが弱体化したら一斉に襲い掛かるつもりだった男の子たちは全員、逆にふっ飛ばされる。
私を抱きかかえながらも高速移動するセカイくんは、一人一人の男の子たちに寸止めパンチして、その拳圧だけで全員を教室の窓の外へとふっ飛ばしちゃった。
「かっかっか……さてさて……」
そして、振り返るセカイくん。教室に残されたのは、裸と半裸の女の子たちだけ。
あとはもう……
「さ~て、……戦争だからな……寸止め……いや……いっそのこと、もう逆らえないようにするかな? これまでは本気で惚れた女以外はどうしても無理だったが……俺にそんな姿で襲い掛かってくるなら、容赦しねえ。俺にマジで惚れちまったアネストやディーと違って……ただの野生のビッチのお前らには後腐れもしがらみもなく、手加減しないぜ?」
「「「ッッ!!!???」」」
そこから先はもう……
――――♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
口に出せないとんでもない光景を目にし、私にとっては生殺し。
ドサクサに紛れてディーちゃんとアネストちゃんも交じろうとしてたけど、セカイくんのよく分からんポリシーなのか、二人だけは何故か弾かれちゃった。
そして……
「ふ~う……分かったな、小娘ども。これに懲りて俺を色気で弱体化しようだなんて二度と考えるんじゃねーぞ?」
「「「「「……………♡♡♡」」」」」
教室に横たわる乙女たち……こういうのを、死屍累々って言うのかな?
セカイくんの本気の反撃に息も絶え絶えに、だけど幸せそうな顔で痙攣して女子たちは……
「こんな苦痛を味わいたくなければ、ちったぁ~心入れ替えることだな♪ オレン……いや、シャイニ。お前がいたおかげで、どうやらこれで何とかなったみたいだぜ。あんがとよ」
「ん、そ、そう……そう言っていただけて……私……」
セカイくんは服を整えながら「これでもう自分に誰も逆らわないだろう」と思って満足したようで、抱き寄せていた私にそう告げた。
ぶっちゃけ、生殺しお股ムズムズ状態の私が一番つらかった……
でも、これでクラスのみんなに対してはもう大丈夫……
なんて思ったのは、大きな間違いだったことに、セカイくんは気付いていなかった。
なぜなら男の子たちはまだしも、女の子たちは…………知っちゃったから♡ 逆らわないどころか、これからも求め続けちゃうようになってしまったから……
――あとがき――
すみません。前話からいきなりシーンが飛んでしまった事情はお察しください。途中まで書いてアウトやと思ったので……。でも、一応三人娘はまだ大丈夫です。また、前話でそろそろ真面目にやると言いましたが、アレは嘘です。この作品、シリアス路線はもう諦めました。尻アスで遊んでいきますので、苦痛と思われましたらもう容赦なく低評価の★一つを叩きこんでください。万が一間違って★三つ叩き込まれちゃいましたら、調子に乗って作者の性癖がどんどん出てしまうかもしれないのでご注意ください。
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