第5話 朝食

ドンキホーテが古城の中に潜入してから数十分後、古城の中で爆発音が響き渡る。ドンキホーテの三日月型の光線の着弾音だ。この時城の周りの見張りは目の色を変え玉座の間のへと向かうべく城の門を開け古城の中へ入っていった。


「仕掛けるなら今じゃの」


アレン先生はつぶやき背を向けて古城の中に入ろうする複数の見張りに対し電撃の魔法をくらわせ失神させてしまった。只でさえ予想外のことが起き混乱している時に不意打ちを食らったのだ兵たちの混乱は増すばかりだった。この混乱をアレン先生はうまく利用し、間髪を与えず電源の魔法を繰り出した。兵士の方はというと謎の爆発音に加え突如現れた電撃を操る猫に倒れた仲間、この時兵士たちの頭に浮かんだのは奇襲と敗北の2文字だった。恐れをなしてすっかり戦意を喪失してしまっていた兵士たちはもはや抵抗しようにも統率が取れなくなり、そのままなされるがままに次々とアレン先生の魔法に打ち倒されていった。


玉座の間に雷の様な音が鳴り響く。ドンキホーテは悟った。


(先生が動いたか。)


ではもう間も無くかたがつくと踏んだドンキホーテは、縛られているエイダの元に近づき縄を解いた。


「待たせてしまったな。すまない俺が例の案内役だ。申し訳ないが自己紹介は後でな。」


「ありがとう・・・ございます。」


エイダはまだ混乱していた。先ほどまで絶体絶命の危機に瀕していたというのにその次は急に助け出される。という波乱の展開に少々追いつけないでいた。

ドンキホーテはそんな彼女の様子を察して


「平気か、すまない俺たちが遅れてしまったせいで、もう少し辛抱していてくれ。」


と声をかけた。しかし実際にはドンキホーテ自身なぜこのエイダという少女が襲われていたのかも検討がつかない、もう少しの辛抱とはいってももしかしたら襲撃がこれで最後ではないかも知れないのだ。ひょっとしたらこれ以上の最悪な目にあうかもしれない。


(最悪どこかの国が絡んでるのかもしれないつーのがやばいぜ。ボス、とんでもねえもの依頼をしてきたな。)


考えにふけりつつどうエイダを守りながら先生と合流するかドンキホーテは考えていた。すると玉座の間の扉が勢いよく開け放たれ。


「まったく雑兵ばかりじゃったわ!」


と見知った白猫が入ってきた。

先生とドンキホーテがつぶやく、どうやら全ての見張りなどは撃退できた様だ。アレン先生のことだ撃ち漏らしはないだろうとドンキホーテは思い警戒を緩めた。


「よし、じゃあさっさと逃げよう転移魔法を利用してな!動けるかエイダさん?」


「あ、は、はい大丈夫・・・です。」


エイダは流されるまま転移の魔法陣の中にドンキホーテ達と入り込んだ。


「先生転移を頼む!あと一連托生の契約を発動させてくれロシナンテとともに飛ぶ!」


「わかっておるわ!急かすでない!魔法陣自体に細工が必要じゃ追跡されてしまう。」


そう言ってアレン先生は魔法陣になにやら複雑な文様を自分の爪で付け足していき、出来たなというと自分も魔法陣の中に入った。

すると魔法陣はみるみる輝き出しエイダ達と外にいるロバのロシナンテをどこかへ飛ばしてしまった。




甘い香りがする。花の香りだ。いやらしくなく鼻にまとわりつくことがない爽やかな甘い香りに包まれながらエイダは目を覚ました。いつのまにかエイダは寝てしまっていたようだ。エイダの寝ていたところは整えられたベッドでとても柔らかく二度寝を誘われているかのような心地よさだ。周りはいつ連れ込まれたのだろうか、見たことのない木造の部屋でありエイダの家ではないことだけが確かだ。ベッドの側の窓に気づくとエイダは外に目を向けた。窓のそと一面の花畑であった。これほど綺麗なものをエイダは見たことがない。自分の知らない世界。本だけでしか見たことのない世界エイダは思わず窓から飛び出したい気分になったが、そもそもここは見知らぬ土地どうして自分はここにいるのだろうか。という当たり前の疑問が恐怖と不安を呼び起こしていたため。そのような活発なことはできそうもなかった。


ドアがノックされる。


ガチャリとドアが開くと黒髪と黒い瞳の半裸でズボンしか来ていない男がドアから半身を出した。

エイダはその男に見覚えがあった。昨夜、族の腕を切り落とし自分を助け出してくれた人だ。感謝の気持ちはあるが実際に人の腕を切り落とさした人物が目の前にいるとなるとエイダの心の中には恐怖が増すばかりだ。


「へい」


男が喋る。


「へ、へい」


エイダは思わず同じ返答を返してしまった。


「朝飯食べるかい?」


「え、あ、はい・・・」


エイダのお腹はグーと鳴った。

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