第28話 薬


嚥下したそれがじわじわと神経に作用するのは、小一時間程経った後で。


それまで何度も布団の中で体の向きを変える。


どっちに眠っても寝付けないのに、薬が効き出した途端気絶する様に意識を失って眠る。


不自由な子を産んだ自分への罰として夜中に自分の頬を何度も叩いていたある日から、僕の舌は痺れ出して、痛む様になってしまったのだけれど、


繊細に痛みを拾う様になってしまった舌は、元来腎臓と太く繋がっていて、薬やビタミン剤を飲むと荒れて更に痛み出す。


睡眠薬を飲むと舌が荒れるので、眠れるのなら薬は飲みたくないのだけれど、やはり飲まないと眠れなかった。


薬を飲むと眠れる。

でもやっぱり一度は起きる。

微睡むことなくまた眠りに戻れるのにどうしても神経が過敏だ。


たまに起きているのか、眠っているのかわからなくなるときがある。


スマホを見て文字が読めない事を知って、今は寝ているのだと思う。


体は正直に休めと信号を出し始めた。


僕はこれからまた置いていかれるのかと焦燥に駆られる。


ゆっくり歩いて良いと言うけれど、ゆっくりすぎて僕の頭も体が動かなくなってしまいそうだ。


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