第?話

???の心情


 私にとって、あのお方は人生の全て。


 あのお方がいるから今の私がいる。


 私の一生はあのお方の為にある。



 あのお方が言う事は是が非でも正しい。


 全てを受け入れる覚悟もある。




 しかしながら、あのお方も少なからず弱い部分を持つ人間。


 正しさに迷った時や、過ちに進もうとした時には、

 肉を切る思いで修正しなければならない。



 それが周りの環境であっても、人間関係であっても。




 それに気付けるのは私だけかもしれない。

 それを実行できるのは私だけかもしれない。



 私の犠牲であのお方が救われるのなら、喜んで贄となろう。

 私の行為であのお方が目覚められるのなら、どんなことでもしよう。



 盲目でも狂気でも神拝でも構わない。

 あの時、あのお方が私の為に取った行動は、私という人間の礎であり存在の証跡であるから。



 そうして私は再び仮面を被る。

 誰の為でもない。

 露出すべからぬ想いを直隠し、億劫でくだらない鳥籠での最低限の潤滑油となる為に。

 

 そう望まれたのだから。

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