第150話 凄まじい破壊力

琥珀の隣の席を確保すると、夕飯が始まった。今頃俺のクラスでは班メンバーが俺作のカレーを食べてるだろうが、その辺の味の評価はどうでも良かった。本命である琥珀の様子を伺っていると、琥珀は俺の作ったカレーを一口食べて笑みを浮かべてくれた。


「あっくん!凄く美味しいよ!」

「そっか、なら良かったよ」


優しい琥珀の感想に思わず頬が緩む。


「だらしない顔」

「うるさいぞ」


浪川の奴が琥珀の正面でポツリとそんなことを呟くので密かにそう返しておく。だって、琥珀たんの前で険悪とかしたくないもの。それに、琥珀の前ではイケメンフェイスを保ててるはずだし多分大丈夫なはず。


「あ、あっくん、その……少し待って」


そんなことを思いながら、俺も琥珀の作ったカレーに手をつけようとすると、琥珀からストップがかかった。はて、なんだろう?不思議に思っていると、琥珀は少し躊躇ってから、勇気を出したように俺からスプーンを受け取ってカレーを少し掬うと、


「は、はい。あなた。あーん……」


………はっ!思わずフリーズしてしまった。なんだ今の新婚さんみたいなあーんは!?ふと、視線を感じて見ると、琥珀の班メンバーの1人の富岡という女子がニヤリとしていた。なるほど、貴様の入れ知恵か。悪くはないが、少し複雑な気分だが、そんな事より可愛い琥珀からのあーんを拒むようなことはせずにそのまま食べる。


琥珀の作るカレーの味は何度となく俺の胃袋を際限なく掴みまくるので凄すぎる。まあ、俺が琥珀限定でチョロいせいもあるが、それもこれも琥珀が可愛いから仕方ないと言えるだろう。うん、可愛いは正義、ジャスティスなのですよ。そして、琥珀たんは可愛いから正義なんです。


「うん、やっぱり琥珀の料理が1番だね」

「そ、そう?えへへ……」


照れる琥珀たんがまた可愛くてヤバすぎる。どうしてこんなに琥珀は可愛いのだろうか?いや、分かりきってるな。琥珀という存在が可愛さの権化なのだ。だから、そんな琥珀が可愛くないわけない!あー、もう例え世界を敵に回しても絶対守る覚悟はあったけど、この可愛さを知ってしまうとそれを遥かに上回る覚悟が芽生えてくる。まあ、琥珀を傷つける者は誰であろうと容赦するつもりはないけど、この笑顔を守れるなら絶対なんでもしてみせる。


今度こそ、守り抜くと何度だって誓ってやる。どんなことがあろうと俺はこの子を絶対に守る。そして、絶対幸せにしてみせる。そんな訳で、琥珀のカレーは絶品でした。



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