トンボ
中3の時の話。
私の通っていた中学校には時間割帳があったのだが、その中には日記欄があった。日記を書くかどうかは個人の自由だが、どちらにせよ毎日提出しなければならなかった。
私は中1の頃から毎日それを埋めて提出していたが、結構な頻度でネタ切れを起こしていた。そのため、中3の秋のある日、日記欄に、
「体育大会の練習中、めちゃくちゃトンボ飛んでました。ぶつかりそうでした」
といった内容を書いた。
話は変わるが、私の中3時の担任は学級通信を作るのが好きで、生徒の日記から抜粋して、学級通信に掲載することも多々あった。
体育大会を控えたある日。担任はクラスの日記から体育大会に関する部分を抜粋し、学級通信に特集を組んだ。
他の生徒の抜粋は大体、
「応援合戦の練習、楽しいです!」
「ソーラン節で筋肉痛です……」
「体育大会、盛り上げていきたいです」
といった感じだった。
私は体育大会に関する日記は書いていなかった。しかし、例のトンボの日記が「体育大会に関連する部分」と見なされてしまったらしく、そのまま掲載されてしまった。
その結果、皆が体育大会に向けて盛り上がる中、私は一人だけトンボに気を取られている奴になっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます