掃除機

高一の時、私がいたクラスが担当していた掃除場所の中に、「職員室」があった。


私の班は、年末頃に職員室の掃除が回ってきた。


職員室掃除の担当教師(仮にM先生とする)は、集まった私たちを見るやいなや、「この中で一番機敏な子は誰かな?」と言った。


なんでも、年度末なので掃除機をかけねばならないらしかった。

しかも、その掃除機はコードが短いとかで、掃除機を移動させるにつれ、プラグをさすコンセントの場所も変えていかねばならないという。


したがって、掃除機をかけるM先生を追いかけて、プラグをさし変えていく機敏な子が必要らしかった。


最終的に、そのコンセントをさし変えていく役は、運動部の男子が引き受け、残りのメンバーは雑巾で床をちまちま拭いていた。


すると、

「もっと早く!」

とか、

「そうそう、そんな感じ!」

とか言うM先生の声が聞こえてきた。


最終的に、そのプラグさし変え役を引き受けた男子はM先生から、


「いいよ〜、君成長したよ〜!」


と言われていた。


正直、プラグを素早くさし変えていく技術を身に付けて、何の役に立つのかはちょっとよく分からなかった。

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