03 街の灯り.
「またビールですか?」
「これがないと、生きていけないんです」
「呑みすぎちゃだめですよ」
いつもの店員。もうひとりいた。ビール以外に、わたしに優しくしてくれるのが。
「あ、いま僕のこと、馴れ馴れしいって思っちゃいました?」
「いえ、全然」
こんなだめな女に優してくれてありがとうって、思いました。とてもじゃないけど口には出せない。そんなこと言えない。
「ごめんなさい。つい。ビールばかり買っていかれるので、心配に」
「ありがとうございます。私はビールで生きているようなものなので」
「これ。よかったらどうぞ」
アルミホイル。丸い。
「おにぎりです。僕の夜ごはんのひとつ」
「えっ」
「馴れ馴れしいついでです。気持ち悪かったら、捨てといてください」
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