レコード・ロメインレタス・コピー用紙
ロメインレタスが苦手だ。ロメインレタスに限った話じゃない。レタスやキャベツ葉野菜全般が苦手と言っても過言ではない。
突然こんな話をしだしたのには理由がある。食卓にロメインレタスしか出されなくなったのだ。最初は買いすぎたものを消費したくて食卓に半ば強制的に出されているのかと思ったがどうやら違う感じがする。地味に補充され続けているのだ。買い物してきたビニール袋の中に葉野菜を見つけたときは愕然としてしまった。
どうやら嫌がらせを受けているらしい。しかし、理由がまったく思い当たらない。なにか気に障る事でもしたのだろうか。いや、ない。そう断言したかったが、そうもいかない。
いつだって、機嫌を悪くするタイミングはわからない。機嫌が悪いのかもわからない。それがダメなことだっていうのはわかっているけれど、これだけともにしてしまってふたりだ。もうどうにかする元気もありはしない。
いろいろなことに余裕ができたからレコードを収集し始めたのだが、それもどうやら気に障ったらしく、気が付くと針がなくなっていたり、レコードが割れていたりしていた。それを正面から言い合いできないのが。もう終わっているのだと告げているようだった。
しかし、それよりこの葉野菜の猛襲だ。いつまでたっても終わる気配のないこの攻撃は終わることがないゆえに精神的ダメージを与えてくる。だんだん、紙を食べているような気にすらなってきて、食事をすることに対して楽しみがなくなってくる。
毎日出てくるロメインレタスはまるでコピー用紙を出されているような気分にさせる。
まるで毎日がコピーされたようにおんなじ日々を繰り返していく。まったくもってロメインレタスが悪い。ついでにロメインレタスばかり用意するやつも悪い。
機嫌が損なっているのであれば、そういえばいいのだが会話もなく自室へ戻る。ふと、レコードが回転しっぱなしなのを見つけた。いったい、いつからなのだろう。音は鳴っていない。針が持ち上がっているのだから当然だのだが、なぜ針が持ち上がっているのかは分からなかった。 不思議に思いながらも、レコードの回転を止めてその日はそのまま寝付いてしまった。
次の日。ロメインレタスが出てこなかった。ほかの葉野菜もだ。
おや?と首をかしげる。あれだけあったものが消えてしまったのか。何がきっかけであの猛襲が治まったというのか。なにか特別なことをしたわけではないのだけれど……。
ふと、自室のレコードの事が頭をよぎった。
まさかな。そう自分の考えを振り払うように首を激しく横に振った。
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