バイオハザード?
リリアの説明を受けながら俺たちはゾンビを探していた。
「ゾンビたちは基本的に墓場やこういった森にある洞窟に巣を作って、昼間はそこに集まっているはずです」
ゾンビは夜に活発になって昼は鈍いってよくあることやもんな。
「それからゾンビは腐った臭いがするため、巣に近づくとその臭いがしてきます。それによってゾンビの巣を見つけます」
まぁゾンビって腐ってるって感じだし、そんな臭いがしても不思議ではないが、驚いたのは勝手に動き合うんじゃなくて、巣を作るくらい団体行動をする事なんだよな。
あまりにも多過ぎたらさすがに加勢したりしないとな。
「あっ、これを聞いとかないと。ゾンビって噛まれたら、ゾンビになったりする?」
よくある噛まれたら終わりって設定があるのかリリアに確認する。
「いえ、基本的には噛まれてもゾンビになる事は有りませんが、ただ稀に現れるキングゾンビからに噛まれるとゾンビになり、さらにそのゾンビにもゾンビにする能力があると聞いたことが有りますが、基本的にはそのようなゾンビは居ないので大丈夫だと思います」
なるほど、ゾンビでも種類があって、基本は感染しないタイプなのか。
なら安心ってはならないけど、少しは気軽に行けるかな。
まぁ痛いのが嫌だから、噛まれるなんてバカな真似は避けたいけどね。
ゾンビの情報を収集しつつ、俺たちは森を歩き続ける。
昼までありながら、森は木々に覆われて、どこか薄暗さを感じた。
クンクン……くさ!
俺は今まで嗅いだことのない激臭に襲われた。
二人も感じたようで鼻を摘んで顔を歪ませている。
「リリアこの臭いがもしかしてゾンビか?」
俺は我慢しながら、リリアに問う。
「そうです」
リリアも鼻を摘みながら変わった声で返答する。
やはり、近くにゾンビの巣があるのは間違い無いようだ。
俺たちは当たりを見渡すと、木々の間の奥に洞窟がある事を確認することが出来た。
「リリア、見つけたよ。あれで間違い無いかな?」
「はい。間違い無いと思います」
リリアに確認してもらい、確証を得ると最後の確認をとる。
「美由、リリア、これからゾンビを全滅していくんだけど、量が分からないから少し準備するね」
そう言って俺は、M26手榴弾を10個用意した。
「まず俺が、このM26手榴弾をあの中に入れて数を減らしつつ、おびき寄せるから、落ち着いて出てきた奴を狙ってくれ」
「「わかりました」」
二人にも弾の入った予備弾倉を渡して、俺も準備を終え、位置につく。
そして俺は手始めに手榴弾を投げ込む。
洞窟の中で手榴弾が炸裂する。
ゾンビの破片が洞窟の中から吹き飛んできた。
ヴーー
複数のゾンビの鳴き声が聞こえて来る。
俺はそれを確認してから次の手榴弾を投げる。
二つ目が爆発した時、洞窟からようやく1体目のゾンビが出てくる。
「美由!」
俺の声に反応して、美由がP220を発砲する。
ぱんぱん
乾いた音が2発聞こえる。
2発ともゾンビの胴体に当たり、ゾンビはその場に崩れ落ちる。
理想は頭に1発だが、初心者にそこまで求めるのは酷だ。
今は倒せればそれでいい。
それに俺もできる気があんまりしないしね。
俺は洞窟の中の数を減らすため、手榴弾を投げ込む事を続行する。
バラバラと出てくるゾンビをリリアと美由は確実に撃ち倒していく。
用意した10個のM26手榴弾を投げ終え、洞窟の中の母体数も相当減っている事だろう。
俺は89式小銃を構えて、二人のサポートに回ることにした。
弾数が少ないP220はリロードが多いため、その間は俺が処理をする。
ソロソロ二人に渡した弾が無くなる頃、洞窟の中から出てきていたゾンビも出てこなくなった。
発炎筒を投げ込み、洞窟の中を照らす。
確認しながら、中に入っていく。
先程まで大量のゾンビがいた為、中はかなり臭い。
それに臭いの元凶のゾンビは死体のまま、そこら中に四肢がもげたりして、転がっている。
5mほどの洞窟に200体近くのゾンビがいたようで、そのほとんどは手榴弾によって倒されていた。
確認したところ生き残ったゾンビも居ないので、俺はここを離れることにした。
臭すぎるからな。早く出てしまいたい。
俺は出ようとしたが、入り口付近で、リリアが何かを拾っているのを目撃した。
「リリア何してるんだ?」
「魔石を拾っているんです」
魔石?それはあれか。良くある魔物にあると呼ばれる石みたいなやつのことか?
「えーとそれをどうするんだ?」
結局この世界での用途を知らないといけないだろう。
「ゾンビも立派なD級魔物ですので、冒険者ギルドで売ればお金とRPポイントはが貰えます。ですから回収しようと思いました」
さすがメイドというべきか、俺たちの事を考えて、率先して行動してくれているのか。リリアも臭いのは嫌だろうに。
俺も一緒になって、リリアが拾っていた石を拾うことにした。
ナイフを使って体から取り出す時は、少し吐き気を覚えた。
「天羅さん私もお手伝いします」
美由も俺たちを見て手伝うと言ってきた。
「汚いから無理しなくていいよ」
俺は辞めとくように伝えるが
「いえ。二人だけさせるわけにもいきませんから」
そう言って俺に銃剣を要求して、ゾンビに突き刺して、魔石を探した。
手をぐちゃぐちゃに汚しながら、ある程度魔石を集め終えた。
200個近い魔石は車に乗せて、俺たちは水で手などを洗う。
緑色の液体の洗剤を使い念入りに洗う。
お陰で匂いはマシになっただろう。
こうして俺たちは、実地訓練も終えて、再びダンバの街を目指してパジェロを走らせた。
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