婚約破棄する期間は、もう既に締め切りました!

無乃海

【前半】 乙女ゲームのフラグを折りたい…編

プロローグ ≪乙女ゲームの始まり≫

 ここは現代日本、と言いたいところですが、この世界は現代日本に限りなく近いと思われる、パラレルワールドの世界ではないでしょうか?…それとも、現代日本に近い異世界とか。


何故ゆえにそのようなことを考えたかと申しますと、私には前世の記憶があるからです、としかお答え出来ません。所謂、転生者という存在ですね。前世の記憶があるからと言いまして、ここが他の世界だと普通は思いませんけれども、私には明らかに前世とこの世界では、を見つけまして、そういう結論に辿り着きましたのよ。


どういう点が違うのかと述べますと、先ずは前世で記憶していた地名とかが違います。大都市であった筈の東京が、見つかりませんのよ。その代わりに東宮市とうぐうしというのが、この世界では大都市になっていましたわ。他にも商品名が違っていたり、ブランド名が違っていたり、ある筈の風景がなくなっていたりと、来ているのです。これは…絶対に別世界ですよね?


しかし、そういう名称が違う以外は、全く日本そのものなのです。実際にこの国でも日本と呼ばれていますし、他の国もありましたし。ですが、商標登録に関わりそうなことなどは、全て別の名前に変わっていますわね。何となく、これらのことに気が付いているのは、転生者だけみたいですね。私も、気が付かなかったことでしょう。そして、私以外にも転生者は存在していました。


幼馴染が同じく転生者でしたのよ。彼女とは家柄も似たようなものですし、転生者の悩みというものを、2人で分かち合っておりますわ。いやあ~、私だけでなくて良かったです。私はあまり勉強が好きではないし、興味のないことは右から左へと抜けて行ってしまうので、頭が良くて頼りになる彼女が居てくれて、本当に良かったですわ。私はどちらかと言えば、頭脳派ではなく体力派ですので。


そういう私ではありますが、実はこれでも一応はお嬢様なのです。フジノハナコーポレーションという広告代理業の関連の大手の会社である、社長令嬢なのですわ。私は、『藤野花ふじのはな 瑠々華るるか』と申しますの。現在は、花の女子大生になったばかりですわね。高校までは、お金持ちの子供だけが通う名門校に通っておりました。

大学はその付属の学校ではあるのですが、一般市民の生徒達も通うことが可能なのですのよ。半分はお金持ちの生徒、もう半分は一般生徒となりますわね。

授業は混じって受けておりまして、一般生徒の女子がお金持ちの男子生徒を狙い、仲良くなろうとされておられます。一般男子生徒も、お金持ちの女子に粉をかけておりますわね。ナンパに成功されれば、玉の輿&逆玉ですものね?


私の幼馴染は『立木たちき 麻衣沙まいさ』さんというお名前でして、彼女も私と同様にお嬢様なんですのよ。立木グループの代表取締役のご令嬢なのですわ。彼女も私と同じ小学部から通っておられまして、今も同じ大学におられます。何でも彼女は、前世でもお嬢様だったそうでして、同じ令嬢の娘でも威厳が全く違いますわね?


私達の前世の記憶ですけれども、自分の名前や家族の名前などは、全く覚えておりません。彼女も、お嬢様だったことぐらいだそうですわ。私達が死亡した原因も、また何時いつ何処どこで亡くなったのか…とかも、全く2人共…覚えてはおりません。

もしかしましたら、天寿を全うしたのかもしれませんし、事故か病気などで早くに亡くなったのかもしれません。そこら辺は、曖昧なのですよね…。


そこでもう1つ、気が付いたことがありますの。前世にもキラキラネームと呼ばれる名前が流行っておりましたけれども、この世界は…キラキラネームだらけです。

お年寄りから子供までキラキラネームのお人が大勢おられます。勿論、普通のお名前の人もおられますけれど、圧倒的にこの世界ではキラキラネームが多いですわ。

私も麻衣沙も…そうですのよ。まあ、お陰であまり恥ずかしいとは、思わなくなりましたわ。要は慣れですわ!…キラキラネームの当人が恥ずかしがっている方が、余計に恥ずかしくなるんですわよ。


まあ、どちらでもいいです。今更…どうにもなりませんもの。それよりもこちらの方が、大切なのですわ。そう、ここからが正念場でしてよ。私自身が頑張る必要があるのですわ。これまでの私も、色々と波乱万丈人生でしたわ。何せ…私も麻衣沙も2人共に、悪役令嬢でしたから。悪役令嬢が絡んだイベントが、これからはいくつもありますのよ。但し、私達2人共、ございません。

これからも、フラグというフラグを叩き潰して参ります。


婚約も回避する気で満々でしたのに、それなのに……。

婚約は、何故か…回避出来ませんでしたのよ……。一体…どうして~~~!!!






    ****************************






 何の意味も持たず、転生出来たのなら良かったのですが、生憎この世界は…前世で言うところの乙女ゲームの世界でした。小学生の頃に気が付いた私と麻衣沙は、所謂…悪役令嬢という役柄です。舞台はこの『堀倉学園付属大学ほりくらがくえんふぞくだいがく』で、一般入試枠でトップ入学したヒロインが、乙女ゲームは開始されますのよ。要するに、大学の入学式でゲーム開始となり、出逢いや合宿などのイベントを熟していくことで、攻略対象者達の好感度を上げて行くのですわ。


攻略対象者達は、全部で5人とプラス隠しキャラでしたわね。先ず1人目は、私の婚約者でもある『斎野宮さいのみや いつき』さん。彼は、私と婚約している理由が分からない程で、今の私には勿体ない人物です。成績は常にトップですし、対象キャラの中でも超越したイケメンですし、王国もののゲームでしたら、間違いなく彼が王子様キャラでしたわ。表向きも裏向きもなく、とても優しいお人なんですよね。

…はて?…ゲームの私なら兎も角も、現実の私とは…何故に婚約することに?


2人目は、麻衣沙の婚約者である『篠里しのざと みさき』さん。樹さんと同じ学年で、今は大学3年生。因みに、私と麻衣沙は大学1年生です。ヒロインと同じ学年ですわ。

岬さんも樹さんと同様に成績優秀で、イケメン具合も樹さんに負けないほど、素敵ですわ。岬さんは、運転時や勉強時に眼鏡を掛けておられます。眼鏡キャラ担当でいらしたの。幼馴染の麻衣沙がスレンダー美女ですので、お2人が並ばれますと…1枚の絵画のようですわ。


それに比べて私は、美人ではありません。そう悪くもなければ良くもない、という雰囲気です。如何せん、私の周りの人物達が美形過ぎ、自分に自信が持てません。前世の自分をよく覚えておりませんので、前世よりはマシなのかもしれませんが。ただ…自分はお金持ちではなく、一般的な市民だったとは覚えておりますね。

現世では、お嬢様として頑張って振舞っておりますわ。本当にこれで良いのかは、疑問なのですが。


3人目以降は、2人が一般市民のキャラでした。1人は一般市民でも、お金持ちで裕福なキャラでした。後もう1人は、同じ一般市民でも普通の市民キャラです。

全く同じ身分では乙女ゲームが盛り上がらないと、身分を変えた感じですね。

一般市民枠なので、この2人は大学から入学した人物となっていました。

裕福キャラは、親が国家公務員とかで寄付金も出せる、と言う設定だった筈です。確か…2年生でしたわね。学年が上なので、まだお見掛けしたことはありません。ただの市民キャラは、私達と同じ学年の一般生徒です。同じ学年と言えども大学は広いので、まだお見かけしておりません。王国もののゲームならば、男爵と庶民と言う身分でしょうか。


5人目のキャラは王道中の王道である、教師キャラですね。舞台が大学ですから、教師というよりも教授ということになります。教授と言えば、年齢がかなり上の気が致しますよね?…若いとは言えども、私達よりは10歳ほど上のお人ですわ。

現在、この『羽生崎はぶさき教授』の授業を受けておりますのよ、私達1年生は。

私など…子供扱いをされそうですわね。


最後に…隠しキャラは、私も麻衣沙も全く情報がありません。前世の記憶でも、隠しキャラが居ると噂されていただけで、実際には…隠しキャラを見つけた、という情報が誰からもなかったと、記憶しておりますわ。但し、その記憶がいつ時点のものなのか分かりませんし、隠しキャラが…疑問ですのよ。

ゲーム会社の公式サイトでは、隠しキャラの存在が肯定も否定もされず、正式発表もなかった筈なので、とも考えられますが。


他に転生者がおられましたら、ぜひ真相を聞きたいと思っております。私達以外にも転生者のお人がおられましたら、そして…隠しキャラの存在をご存じのお方は、是非カモン!…どうか私達に、隠しキャラルートの情報をくださいませ!


まあ、こういう感じで…私も麻衣沙も、何とか楽しく2人で乗り切っております。

どうせならば楽しまなければ、損ですもの。悪役令嬢という役柄ではありますが、他のフログは兎も角としましても、徹底的に叩き潰します!


ゲームの悪役令嬢がどうなるのかは、ルートによっても異なって来ます。

私と麻衣沙に関しては、国外追放はなくとも、ルートに依っては死亡することも、家の没落もありますのよ。家族を巻き込んでまで、没落したくはありませんわ。

前世の家族のことは覚えておりませんので、比べることは出来ませんけれど、現世の両親は、とても優しくて子煩悩な両親なのですもの。麻衣沙のご両親だって、そうですわ。家族を守る為ならば、私達2人はいざとなりましたら、おりますの。勿論、本当の戦闘ではなく、気持ちの上でですが。


それにしても…まだ、ヒロインを見かけたことがないような……。

ヒロインは…何処に紛れ込んでおられるんですの?





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※本日から、秋~冬期間を限定として、新しいお話が始まります。

 乙女ゲームの婚約破棄シリーズ第2弾として、前の物語よりは長めとし、一応、

 長くても2~3か月で終了を目指す予定です。内容は冬に関係ありません。

 但し、物語の都合上、更新期間が延長し、今年中に終了しない可能性もあります

 ので、ご了承願います。

 また前回の物語とは、全く別物の内容の物語となっています。



 今回の物語は、主人公視点で始まります。よろしくお願い致します。

転生者である主人公『瑠々華』視点となります。ちょっと間の抜けたような性格の女子大生です。成績は悪くないのでお馬鹿ではありませんが、天然がちょっぴり入っているかもしれません。



※読んでいただき、ありがとうございます。

 前回の『婚約破棄から始める物語を、始めましょう!』が好評でしたので、

 婚約破棄シリーズと銘打って、別の物語を始めました。

 宜しければ、こちらの応援もよろしくお願い致します。

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