第23話 もうひとつの魔眼
魔眼スキル【
目を見た相手に対し様々なデバフを付与する魔眼。
大吾が最初に作った魔眼であり、
アーシェスの左目のコンタクトに付与されているスキルだ。
この魔眼は距離によって効果に差が生じる。
最大距離は20Mとなるが、
その場合効果はあまり期待できない。
しかし、もっとも近い距離であれば効果は絶大だ。
弱体成功率は実に150%。
弱体耐性スキルを持っていてもほぼ間違いなくデバフが成功するという
破格の性能だ。
アーシェスはバトル開始前に決めていたことがあった。
1回の試合で使用する魔眼はどちらか片方のみとするという事。
なぜなら両方の魔眼を外した場合、視力にハンデを背負ってしまう。
到底まともなバトルは出来そうにない。
ゲーム内で超人的なPSを持っているアーシェスといえども
目が見えなければただの案山子となってしまうからだ。
そのためえ、もうひとつの魔眼は使うつもりはなかった。
このまま戦っても問題なく勝利できる自信があった。
――――だが
恐らくユニークスキルと思われる【弓型】を披露してくれたトリエスティに対し、
自分も手札を切るべきだと考えたのだ。
そのため、これは賭けだった。
言葉で誘導し、
確実に相手が自分の瞳を見るように仕向ける。
アーシェスのの瞳を見て、確定で入る防御力低下、速度低下が入った事を確認し、
さらにトリエスティの様子からランダムデバフの何かが入った事も理解できた。
バトルの終盤。
互いにスキルを使い、気力を使い、体力も低下している今の状態で、
突然入るデバフにトリエスティは驚いたことだろう。
このゲームにおけるデバフというのは実にやっかいだ。
通常のゲームでもデバフの重要性は変わらないが、
このアナザースフィアにおいて、デバフというのは非常に厄介なものなのだ。
例えば、今回の左目の魔眼【
防御力低下、速度低下を最大30%下げる。
その他、ランダムで1種類のデバフが入るわけだが、
いきなり自分の身体能力の一部が30%低下する。
脳はいつもの行動を取ろうとして身体がついてこれないわけだ。
これが普通のゲームであれば、感じることがなかった、
突然起きる自身の能力低下状態は
VRゲームであればそれはリアルに感じる。
そして、経験者であっても中々慣れるものではない。
ましては、予想もしない状態で掛けられたデバフに
パニックを起こす事は仕様がない事だろう。
ゆえにその時のトリエスティの状態は、
単純なデバフ効果以上に大きな同様を与え、
明確な隙を作ってしまった。
――――白銀の剣による一閃
完全な無防備状態のトリエスティの身体を切り裂き、
光の粒子となり消えた。
『け、決着っっ!!!!』
フィールド内にファンファーレがなり、
コロシアム内に表示されているモニターには
アーシェスの顔が大きく表示され、
[WIN]と大きく表示された。
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