(二)―14

 戸手の拳銃を持つ腕はぷるぷると震えていた。対してボディーガードの背後からその後頭部に銃口を押し付けている高木の腕は、まったく震えていなかった。

「ほお、肝の据わった男だな、この状況で震えていないのか」

 拳銃を向けられた横尾が高木を見て言った。

「なるほど、使えそうな男だな」

「はい、元自衛官ですので」

 梶田が答えると「うるせえよ」と近田は梶田の方へ拳銃を向けた。

「あんたらは邪魔なんだよ。本庄組は近田組になるんだ」


(続く)

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