第310話、祝勝会

参拝までに間に合わなかった人も祝勝会には間に合ったようで、源家別荘には各地の重鎮が集まっていた。

「若、参加者が全て揃いました。」

「うん、今行くよ。」

俺は会場に向かう。

俺が入ると賑やかだった部屋が静まり返る。

「皆さん、ギリシャでは御世話になりました。皆さんのお陰で無事帰る事が出来ました。本当にありがとうございます。」

「若!神話の魔物退治の英雄譚に我等が一部でも関われた事は武門の誉れにございます。願わくば次回は我等のお供を認めて頂きたく。」

「ありがとう。次回は無い方がいいけど、もし次があったらお願いするよ。」

「それまで我等鍛練を怠らない所存にございます!」

「あはは、ホドホドにね。」

最初の挨拶が終わり、いろんな人と親睦を深める、今日は北から南まで数多くの源家の重鎮が集まっていた。

「ヒロヨシさん、アズサもいないのにこんなに集まって大丈夫?」

「かまいませんよ。御当主には許可を得ておりますし、あの方は文治の方ですからな、武断派の集まりにはあまり興味がないんですよ。」

「まあ、今の平和な世の中だと武はあまり求められませんからね。」

「そうなんです、我等もあきらめかけていたところに、まさか後継者が武門の方とは。我等の喜び、わかりますか!」

「ちょっと、落ち着いて。」

「いや、若はわかっておられない!若の登場は各地にいた武門を誇りに思うもの達の希望なのです。だから、若には御身を大事にして頂きたいのです。」

「いやいや、それこそ武門の者ならケガの1つや2つは仕方ないんじゃ?」

「大将足るもの、前線に出てはいけません、そのような時にこそ我等に御命令くだされば。」

「今回みたいに自分の事情の時は自分が前に立たないと!それに自分の事情にみんなを巻き込むのも・・・」

「若!水くさい事を言わないでください!若の事情は我等の事情も同じこと、若がお怪我を為さらないことが第1にございます。」

「でもなぁ~」

「わか!」

「あーごめんなさい、わかりました。次回からも力を借りますから。あーでも、無理強いはダメですよ」

「無理強いなど、みな望んでいることです。」

「うーん、じゃあ、カエデ大きな盃を用意してくれる?」

「かしこまりました。」

カエデが大きな盃を持ってくる。

俺はその中に酒をそそぎ。俺は一口呑む。

「俺と剣を共にするは、この盃の酒を呑んでくれ。もちろん無理強いはしない、だが俺の為に戦ってもいいものだけ呑んでくれ。」

盃を置くと。

「島津ヒロヨシ、若に剣を捧げよう!」

「武田ゲン、いついかなるときも御身の元に馳せ参じる!」

「上杉トラカゲ、我が義、若と共に!」

「伊達ムネマサ・・・」

1人ずつ名乗りを上げ、酒を呑んでいく。

そして、会場にいた漢達全員が酒を呑む。

「これより我等は兄弟だ!共に難敵に立ち向かおうぞ!」

「おーーーー!!!」

会場のボルテージは上がり、みんな更に酒を呑み、親睦を深める。


「カエデ、お兄ちゃん何とたたかうの?」

「今、敵はいないはずなんですけどね。」

「リョウ兄、ノリでやってないかな?たぶん酔ってるよね?」

「リョウさま、らしいと言えばそうなんですけど・・・」

「お兄ちゃんが戦うならリナも戦うよ。」

「はぁ、これヨシナリさまに何と報告しましょうかね?」

カエデは頭を抱えるばかりだった。

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