第60話 リョウのいない会社
リョウが撮影を楽しんでいる時、石戸係長のところに大原部長がきていた。
「石戸くん、桐谷くんはどこかね?今日から出勤と聞いているが。」
「これは大原部長。桐谷ですか?彼は契約を打ち切りましたよ。」
「はい?」
「彼は試用期間中に長期休暇をとったのですよ。契約を延長せず終わらせました。」
「君は何をしている!桐谷くんは後継者候補だぞ!」
「部長?桐谷は社長の知り合い程度でしょう?仕事もしてないのに置いて置くわけにはいきません。」
「石戸くん、君は大変な事になるぞ。悪い事は言わない早く桐谷くんを見つけて連れてきなさい。」
「はあ、そこまで言われるなら・・・」
石戸係長は乗り気じゃなかったが大原部長に逆らうつもりもなく、探しにでた。
周辺を軽く探して石戸は会社に戻った。
結局、桐谷は見つからなかったが・・・
石戸係長が席につくと大原部長が走ってきた。
「石戸くん!桐谷くんはいたか?」
「あっ、大原部長、周辺には居ませんでしたよ。」
「なんだと!石戸くん、君はなんて事をしてしまったんだ。」
「えっ!」
「これから社長の所に報告に行く。君もきたまえ。」
石戸係長は大原部長に連れられ社長室に。
「社長、大変な事になりました。」
「どうした、大原くん?」
「桐谷くんが会社を辞めました。」
「なに!なんでだ!今日から出勤のはずだろ!」
「石戸係長が桐谷くんの契約を更新しなかったみたいで首にしたそうです。」
「石戸くん!なんでそんな事を!」
「社長!出勤より休暇の多い社員を雇えば被害が大きくなります。今の内に切ることになんの問題がありますか!」
「一理はあるが彼は特別なんだよ。」
「特別?」
「私の後継者として呼んだのにこんなことになるなんて。」
タツヤは頭を抱えた。
「しかし、社長!私は間違っていないと考えております。あのような学歴の男がわが社にいる事が間違っていたのです。」
「君は私の考えを否定するというのかね、彼は娘の婿にと考えている男だ。」
「そもそも、ミウさんという素晴らしい娘さんに釣り合っていないのです。ミウさんにはもっと素晴らしい男性がいるはずです。」
「君の考えはわかった。」
「わかっていただけましたか。」
「不快だから二度と顔を見せるな!」
「しゃ、しゃちょう?」
「誰かコイツを摘まみ出せ!」
温厚なタツヤが珍しく怒りを見せた事に周りは驚いた。
同時に石戸の未来は真っ暗になった。
石戸が追い出されている中、話し合いは続く、
「リョウくんの行方を探そう。携帯は切れてるみたいだから行きそうな所を探してくれ。調査会社にも連絡して至急見つけるんだ!」
「はい、すぐ手配します。しかし、そこまで急がなくても家はわかってますし、大丈夫では?」
「リョウくんは斜め上に進む癖がある。今この瞬間に海外に移住が決まってもおかしくないんだ。」
「いや、普通はないと思いますが・・・」
「あの子はやりかねない。ただでさえ源グループがちょっかいかけて来ているから向こうに行きかねない!」
「では、すぐ手配に向かいます。」
大原部長が出ていった後、
「頼むよリョウくん、早まった事はやめてくれよ。」
タツヤは祈っていた。
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