09

印刷製本作業専用部屋、通称ワークルームに集まったのは、ちょっとアレなメンバーだった。


アレとは、定年間近のおじさんや、やたら馴れ馴れしいおじさん、挨拶もしないぼーっとした人、現場上がりの強面。

ちょっともしやこれは各部署いらないメンバーが集められたのでは?なんて勘ぐってしまいたくなるような個性的な人員だ。

女子は私だけ。

しかも私でかなり平均年齢下げてる感じ。


そこに颯爽と登場したのは、イケメンエリートリーダー木村さんだ。

ヤバイ、木村さんだけオーラが違う。

何だか神々しい気がするのは気のせいだろうか。


「皆さん自分の業務がお忙しい中、集まっていただきありがとうございます。今回このワークルームを取りまとめることになりました木村です。」


木村さんは丁寧に挨拶をすると、全員を見渡してニコリと微笑んだ。


ここに女子がいたら、一瞬で木村さんの虜になっていたに違いない。

いや、私も女子だけど。

爽やかすぎて眩しい。

このおじさんたちに囲まれていても負けないオーラがまさに芸能人。

ありがたくて思わず拝んでしまいそうになるのを必死で堪えて、私は木村さんの話に耳を傾けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る