第7話 決着★アニメ知識決戦

「あの少し質問していいですか?」


 俺はムラート皇太子に質問した。異星の猫獣人が、何ゆえ日本のアニメに詳しいのか知りたかったからだ。


「どうして日本のアニメに詳しいのですか?」


 ムラート皇太子は誇らしげに胸を張って返事をした。


「ふふーん。僕の国では日本のアニメが大人気なのです。そして、一般教養としてアニメ知識を持つことが大人の嗜みとされています。特に、公職にある者はアニメ知識の多寡でその資質を問われるのです」

「要するに、我が国ではアニメオタクでないと出世できないのですよ」


 ムラート皇太子の説明に、執事のアキュラが付け加えた。

 なるほど。猫獣人の星ではアニメ知識が重宝されているのか。


 壮絶な死闘とも言うべきアニメ関連のクイズは続いた。双方が99ポイント獲得し、後一問で勝負が決まる。


 派手なピエロが問題を読み始めた。


「次は人気アニメ機動戦士ガンダムからの出題です。この作品では、とある粒子の影響でレーダーが使えない環境下での有視界戦闘を強いられるという設定です。そのとある粒子とは……」


 ピエロが読んでいた問題を遮ってボタンを押したのはムラート皇太子だった。


「その粒子とはミノフスキー粒子ですが、その発見者でありミノフスキー物理学の提唱者はトレノフ・Y・ミノフスキー博士です!」


 こいつ、そんな細かい設定まで知っていやがるのか!

 俺の焦燥は募る。しかし、この回答は不正解だった。


「ブブブ! 不正解ですよ。お手付きは-2ポイントです」


 ピンクの獣人が指摘する。そして問題文を読み直した。


「次は人気アニメ機動戦士ガンダムからの出題です。この作品では、とある粒子の影響でレーダーが使えない環境下での有視界戦闘を強いられるという設定です。そのとある粒子とはミノフスキー粒子ですが、この名称の元となった人物は誰でしょうか?」


 俺は反射的にボタンを押していた。


「それは富野由悠季監督です。富野監督の名前をもじって命名されました。富野さんが好き……トミノスキー……ミノフスキー……ミノフスキー粒子となりました。命名者は設定担当の松崎健一氏です」


 正解のファンファーレが鳴りひびく。そして俺とシファー・マラクさんの頭上に、何故か出現したくす玉が割れ、周囲に紙吹雪が舞った。


「綾川和也さん正解です。これで100ポイント獲得で、綾川和也&シファー・マラクチームの勝利です! おめでとうございます!」


 何とか勝つことができた。そして外は明るくなってきている。俺たちは一晩中アニメクイズで戦っていたのか。


「ふわあああ。眠い。寝るぞアキュラ」

「はい」


 ムラート皇太子はその場で、コタツに足を突っ込んだまま眠ってしまった。


「それでは私も失礼します。続きは後程……」


 皇太子に続き、アキュラもその場で眠ってしまった。

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