第17話 ドラゴンハンターの5人
モブゴン達がドラゴン牧場に辿り着いた時、その光景に唖然としていた。
ドラゴン牧場に外部から入るには巨大な壁を破壊する必要があるが、それは一般人では不可能だし、ドラゴンハンター避けがありドラゴンハンターにも無理であった。
ドラゴンハンター避けとは四方に旗が存在しており、その4つの旗を破壊するまたは抜く事であった。
それが可能なのは守り手となるドワーフ達が休憩するこの時間帯であり。
ドラゴンの乗り手が裏切らない限り安全だったはず。
だが、リードロフが全身を炎で燃え盛らせる事により、照明または光の代わりとなる。
四方にある旗は倒され、そこには10名の男性がいた。
彼等を見た事がある。6名がAクラスで、4名がBクラスなはず。
彼等の瞳は虚ろであり、その中にシュガーがいた。
シュガーも虚ろな視線であった。
「あいつら操られてるな、恐らく操り糸のレンゴだな」
そう呟いたのはリードロフであった。
そして、今城壁がさらに破壊されると、そこから巨大なドラゴンが入って来る。
その城壁の向こうはどうやら湖であり、ドラゴンの乗り手の兵士達がいないようだ。
「奴は猟犬のバダーだな、相棒のドラゴンを猟犬のように扱っている」
バダーと呼ばれた男性はムキムキの男性であった。
その隣から歩いているのが。
「殺人のジャックと先祖返りのママだな」
それに対して呟いて見せたのは白衣のネメスであった。
なぜかその場にいる全員がしんみりと静かになっている。
モブゴン達の周囲にドラゴン達が次から次へと現れてくる。
そして主ではないドラゴン達も殺される恐怖を感じているのだろう。
その場にいる7人のドラゴン使い達候補生達には迷いすら1つもなかった。
周りのクラスには実はドラゴン学生服が渡されていた。
しかしモブゴン達には渡されていなかった。
それをフェイス先生は説明してくれた。
「あなた達は1人でもドラゴンハンターを倒せるくらいの力を持っている。そんな君達に学生服は必要ないでしょう?」
モブゴン達はフェイス先生達に認められているのだと思い知った。
だからこの時。モブゴン達は立ち上がる。
それぞれの相棒に乗る。
モブゴンは今回シャインに乗る事にした。
現在シャインの体は光輝いており恰好の的だろう。
だからこそ守る必要があり、襲撃はダークに任せるつもりであった。
その時破壊された城壁の向こうから沢山の死人が歩いてくる。
その光景を見た時。
リードロフがそちらを凝視していた。
「死人のガムまでいる。ガムで死人を操る危険なドラゴンハンターだ。出来る限り1対1は避けろよ」
リードロフが叫び声を上げた。
「皆は逃げ続けてくれ、1つの場所に留まらないでくれ」
モブゴンが叫ぶとドラゴン達はその言葉を理解した。
そしてモブゴン達はドラゴンに乗って暗闇の中を飛翔した。
目印の光となるのが、リードロフの燃え盛る炎の体とその相棒であるレッカの燃え盛る体であった。それに対して全身を光輝かせるシャインのホーリードラゴンとネイの相棒であるジェイネのセイントドラゴンであった。
この3体のドラゴンとリードロフにより光輝くフィールドで戦いが始まろうとしている。
猟犬のバダーが巨大なドラゴンを操りこちらに向かってくる。
どうやら奴は陸型のドラゴンらしく飛び上がる事は出来ないようだ。
モブゴンとリードロフが猟犬のバダーに攻撃を仕掛けようとするも、右方向から何かが飛来してきており、モブゴンと乗っているシャインが避ける。
その後ろをダークが追撃していく。
そいつは殺人のジャックであった。
「ひょーひょひょひょ、ドラゴンだけが空を支配するとは間違っている訳なのです。だからこのわたくしは空からドラゴンを叩き落しその心臓を売り飛ばすのですよ」
「ったくうるせーぞ殺人のジャック、こちとら先祖返りしたらママでしたって言う男性っちゅうのに、体女性かいっての」
殺人のジャックは驚異的なジャンプ力で至る所を飛翔しているように見えるのだろう。
彼は巨大な鎌を握りしめているそれは死神のようでもあった。
一方で先祖返りのママはその言葉通り先祖返りはママなんだけど肉体は女性けど中味は男性だそうだ。なんかよく分からない、つまり女子に先祖返りして生まれたけど肉体は女子だけど中味は男性という事か? まぁそれならなんとなく分かる気がするが。
ママさんは右手に家庭用包丁を握りしめており、体の至る所には家庭用包丁が装備されている。
モブゴンとシャインは巨大鎌から逃れる事に成功する。
それはダークの追撃のおかげであった。
「のわああああ、暗闇で見えんかったぞおおおお」
殺人ジャックが吹き飛ばされて行ってしまった。もちろん鎌を握りながら。
近くに先祖返りのママがいるはずだけど、まったく気配を感じ瀬ない。
シャインの光でも見つける事が出来なかったのだが。
シンネとその相棒であるフウネが風魔法により先祖返りのママの姿を見つけ出す。
先祖返りのママは地面の隙間に隠れていた。
それを風の疾風により吹き飛ばす事に成功する。
体をもみくちゃにされながら、ゼネスとスノードラゴンのコンビが氷魔法である氷乱舞を発動させる。先祖返りのママは体を凍えさせながら。
「まったくもう、すごく寒いのね、ったくすげーさみーんだよ、喋り方までマダムになったら世話ねーぜ、そーねじゃねーぜ」
奴は家庭用包丁を投げ続ける。
その背後から死人達がやってくる訳で。
「ゼネス飛べえええええ」
モブゴンが叫ぶと。ゼネスとスノードラゴンのメイメイズが空高く飛んだ。
その両方の方角からゾンビ達がやってくる。
現在光輝くネイとセイントドラゴンのジェイネが他のドラゴン体を守っている。
ゾンビ達はドラゴンに襲いかかろうとしているが、ネイとジェイネの光魔法の光付与が発動して、ゾンビならぬ死人達が蒸発していく。
それでも、その魔法は無限に使える訳ではない。
「ダーク乗り換える。シャインはネイの助けに行ってくれ」
【うん分かった】
【空中で乗り換えるのなんてやってみた事無かったんだけどさ、やれるかな】
「やるしかねーんだよ」
モブゴンは空中でダークの背中にジャンプする。
ちゃんとダークの背中に着地すると、背中に乗った。
シャインはネイとジェイネの助けに向かった。
モブゴンとダークは猟犬のバダーと戦っているリードロフの援護に向かう事にする。
なるべく暗闇の中を飛翔しながら、リードロフの火炎攻撃を直接食らって、乗りてのムキムキ男性は全然平気そうにしている。
【突っ込むぞ】
「死ぬなよ」
飛翔速度を上昇させ、真っ直ぐに巨大な陸型ドラゴンに突っ込んでいくダーク。
その反対側からはリードロフとレッカが炎魔法を発動させている。
それでもびくともしないあいつを倒す方法など決まっている。
ダークの背中からジャンプした時。
ダークが空に飛び上がって行くのをちゃんと目視すると次に猟犬のバダーの方を目視する。
風が吹いた瞬間には陸型ドラゴンの背中に着地するのではなくそのまま勢い余った状態で猟犬のバダーの顔面を殴り飛ばす。
それは尋常じゃないパワーが秘められ、ただでさえモブゴンのパンチは危険なのに、それプラス空を飛翔して行く時の威力も加わり。
猟犬バダーの顎がごきっと音が鳴り響く。
そしてそのままバダーは吹き飛ばされ地面を転がる。
そして彼は動かなくなった。
その光景を見ていたリードロフは爆笑しながら、ナイスという意味で親指をこちらに向けて来た。それに対してモブゴンも親指を上げて見せた。
目の前にやってくるダークに乗った。
どうやら陸型ドラゴンは主人がいないと動かないようだ。
こいつは放って置いても問題ないだろうと認識した。
一々1人ずつ敵を拘束する時間はないので、次は先祖返りのママを狙おうとした。
「君のお相手はこの操り糸のレンゴとその仲間達です」
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