第57話家族1
「水樹君は好き嫌い無かったわよね?」
「あ、はい。 お母さんが作る料理は全部美味しいので食べたく無いと思える食材を見つける方が難しいですね」
「あらもう水樹君ったらっ! 本当の事言わなくて良いのにっ! どっかの娘に水樹君の爪の垢を煎じて飲ましてあげたいわねっ!」
「むしろ料理上手のお母さんの作ったご飯を毎日食べているからこそ娘さん達は舌が肥えてしまったのでしょう。 これも料理上手の弊害かも知れませんね」
「それもそうね。 料理が上手過ぎるってのも考えものねぇ」
…………ん?
「それでー、水樹君。 今度の釣りなんだけどね、ここに行こうと思うんだけど良いかな? 水樹君は釣りが初心者だっていうからね、初めは比較的釣りやすいサビキ釣りで行こうと思っているからさ。 ここはこの時期サビキ釣りで良く釣れるぞ」
「あ、お父さんと一緒に行けれるのならば例え釣れなくても俺は楽しいので。 でもお父さんと一緒に釣れたらもっと楽しいと思います。 そしてお父さんが釣れると言うのであればその場所で間違い無いでしょう」
「あぁ、息子と一緒に釣りをするという夢がついに叶うのか……」
「大袈裟ですよお父さん」
「次は一緒に晩酌だなっ! それまで待ち遠しいなぁっ」
…………んん?
「ねぇねぇねぇっ!! ちょっと写メ撮らしてっ! クラスの友達に送るのっ!!」
「そう言われても俺はお姉ちゃんの彼氏だからなぁ」
「えぇーっ!? あんなケチほっときなよっ! そして私と付き合っても良いと思うんだけどなぁ? 私、お姉ちゃんみたいに束縛なんかしないよ?」
「うーん、魅力的な提案なんだけどやっぱ俺はお姉ちゃんの事が好きだからね。 でもそうだね、写真位だったら俺からお姉ちゃんに許可して貰うから撮っていいよ」
「流石私の王子様っ!! こう、私を後ろから抱きしめる感じでポーズ取ってっ! 大丈夫っ! ただの撮影のためのポーズだからっ! …………っと、ひゃーっ!! 良い写メ撮れたマジ神皆んなに自慢しよぉおおっ!!」
…………んんん???
「ちょっとっ!! 何私の家族に馴染んでんのよっ!? てか馴染みすぎでしょっ! あんた達も何で彼女である私を差し置いて水樹と絡んでんのよっ!! 水樹はわ・た・し・の彼氏なんですけどっ!?」
「あら? 美奈子居たの? 居るなら居るって言いなさいよ」
「だってお前たちは父さんの趣味に付き合ってくれないだろう? これでも父さん寂しかったんだからな?」
「は? 独り占めうざいんですけどぉー」
なんだろう? 今なら流石に家族をしばいても大丈夫だよね?
今日程家族をしばきまわしたいと思った日は無い。
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