第22話自称IQ150

『しっかし、さすがにこないだのマクドといい、今日の朝といい、お前にしては随分と大胆過ぎたんじゃないのか?王子』


現在、現代社会の授業中なのだがスマホのバイブが一度反応して、通知が来ている事を示すライトの点滅がスマホから出ているのが見える。


その通知を教師にバレない様にスマホを操作して開くと案の定親友である木田から俺のここ最近の一連の行動についての内容であった。


因みに木田の通知以外はバイブ機能をオフにし、点滅もしない様にしていたりする。


そうでもしないと異性の通知が多く紛らわしい為である。


百歩譲って同校の生徒ならば分かるのだが俺の使用しているRhineのIDやメールアドレス、電話番号を勝手に顔も知らない他校の異性に教えるのは本当に止めて貰いたい限りである。


因みにいつの頃からだろうか、俺のニックネームは気が付けば王子に変わっており木田の中では王子が定着してしまっている様である。


街中ですら平気で「王子」と声をかけて来るのでいい加減止めて貰いたいのだが、木田は一向に止める気配を見せない。


『うるせーバカ』


そして俺は短く返事を打つとそのまま送り返す。


彼の心情も分からぬまま、分かろうともせずままに。


『はは、確かに自分の恋路を他人にとやかく言われたら流石にうるさいわな。まぁ我が高校の王子ならば恋の一つや二つなんか余裕でしょうよっ!イケメン税払わすぞコラッ!』

『はいはい、妬み乙。イケメンにはイケメンの苦労があるんだが、君には分からない様だ』

『ぐぬっ、見ておけよっ!いつの日か俺もその苦労を味わう側に、イケメンの向こう側に行ってやるからなっ!』

『なら俺は特等席で待ってるわ』


この木田はなんだかんだでイケメンという単語をネタとして扱ってくれるのでかなり居心地がよく、俺はその居心地の良さに胡坐をかいていたのだと、気付けないでいた。


そして今日も相変わらずバカなやり取りをするのであった。




今現在、私は先週一緒に高城とお弁当を食べた場所でお弁当二つを持参の上ボケーと青い空に聳え立つ入道雲を眺めていた。


どうせ高城の事である。


待ち合わせ時間に来れない事等、自称IQ150の私ともなれば余裕で想像がつくというものだ。


「すまん、少し遅れた。思っていた以上に女性陣達からの追跡が手ごわくて振り切って来るのに苦労したわ」

「俺モテるアピールありがとうございます。そんな自慢話などどうでも良いので。約束の時間に遅れた事に対しての謝罪だけで結構ですので」


しかし想像がつくとは言っても腹はへらないとは言っていない。

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