詩集

七夕様

七夕　　7月7日、２０２４年

ああ、今日は七夕か

短尺をつるす竹がない

竹を背負い、売りに来る人もいない

竹いりませんか、ついでに希望は如何ですか

希望ですか。歌のような言葉ですけど

信じてください

竹に短尺をつるす。どうぞ、字がうまくなりますように

いやに古風なお祈りだ

それ、希望ですか

いやいや、竹の笹（ささ）の匂いと揺れです。揺り籠のような揺れです

希望が揺れる、字がうまくなりますように

あなた、ご両親は？

とっくに亡くなりました。葬儀にも出席しませんでした

泣きました。それだけです

ご両親に祈りなさいよ。短尺に、ごめんなさいと書きなさいよ

そんな、ばかな。いまさら・・・

七夕ですよ、天国に近い日

夜空に両手を伸ばし、ごめんなさいとつぶやいてみますか

いまさら・・・

できます。大丈夫

竹は？

竹はザワザワつぶやくものです

私はしくしく泣くものです

七夕が青竹の節に降りて、くるりと輪を描く

何のために

七夕ですから

意味は？

慰めです。安らかな慰めです

ありがたいことです

七夕様。字がうまくなりますように