第四百三十三話 星間連合が動き出す時

「今度は一体何を取り出すのですか?」


兵士がライトをじっと見つめているのを横目に見ながら、

ライトは淡々と異空間から何かを出現させる。

すると今回は球体ではなく、直接兵器がそのまま出現した。


「これは一体何なのですか?」

「こうした発掘現場で用いる為に作った兵器だよ。

最もテストはしておいたけど実際に使うのは今回が初めてだけどね」


兵士はライトが出現させた兵器をじっと見つめていた。

その目は何度もまばたきを繰り返している。

一方ライトはその事に全く気付いていないのか淡々と説明を行う。


「さて、じゃあ起動させようか」


ライトはそう告げると兵器を起動させる。

すると兵器は数体出現し、資材が見えている場所へと接近する。


「さて、これで……」


ライトはそう告げるとかばんをしまい込み、踵を返そうとする。

だがその直後、ライトのポケットからビービーと音がなり始め、

ライト、アップル、ラズベリーは揃って険しい表情となる。


「え?皆さん揃ってどうしたんですか……」


その空気を感じ取ったのか、兵士達の表情も一気に険しくなる。

何かただならぬ空気を感じた様だ。


「説明は私がするわ、ライトは応対をお願い」


アップルはそう告げるとライトにその音に対応するように告げ、

自身は顔を兵士達の方へと向ける。


「あの音は通信端末の伝達を示しています。

そして今のは……」


アップルが少し早口で話し始めるが、直後にライトの


「本当ですか!?分かりました」


と言って通信を切る。


「何が合ったの?今の音は警報系の通信だから

良い予感がしないって言うのは私とラズベリーの意見だけど」

「まだ何も言って無いけど、確かにその通りだね」


アップルとラズベリーが揃ってライトの方を向き、言葉を重ねると

ライトは


「今あなた達の本部から通信が入りました。

星間連合の部隊がこちらに向かってきていると」


と通信の内容を告げる。

それを聞いた兵士が


「遂に部隊を差し向けてきたと言う訳ですか……

そろそろ傷が癒えたという事なんでしょうね」


と顔の各部分を寄せる。

そんな兵士に対してライトは


「そう考えるほかありませんね。

既に迎撃部隊が出撃したという事ですが、

安全の為僕たちも一旦本部に帰還してほしいと」


と通信の内容を説明する。


「え?何故安全の為に我々が本部に?

部隊が侵攻しているのは……」

「その部隊の侵攻コースの上にこの施設が存在しているんです」


表情はそのままであるものの、

いまいちパッとしていないという雰囲気の兵士に対しライトは


「敵の狙いは本部ではなく、この施設の可能性もあります」


と自分の考える可能性を告げる。

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