第三百七十三話 新たなピープルが出現する時

その直後に現れた新たな獣人の姿は牛の様な見た目で

蛇の様なしっぽを持つ今までに見た事の無いタイプであった。


「あの獣人、今まで見たことが無いタイプですね」

「ESBの皆さんも見たことが無い獣人が出てきたという事は、

つまりピープルも此方側を色々と警戒し始めているのでしょうか?」

「今回の通路が偶発的に開いたものでなければですが」

「色々話したい事はあるだろうけど、今は迎撃を優先して!!」


高御達や兵士がこうした会話を交わした直後に

その獣人は角を一同に向けて伸ばしてくる。


「つっ、いきなり攻撃してきたな……」

「まあ、敵なんだから攻撃してくるよね」

「つっ、私達も侮られない様にしなければ」


その攻撃を回避した一同はそれぞれ会話し、

地球軍の兵士は銃口を向けて発砲する。

その銃弾は獣人の右腕、左腕を打ち抜く。

だがその傷跡は直ちに修復を開始してしまう。


「獣人について分析……あのピープルは今まで交戦してきた獣人よりも

身体能力、魔術等その全てが上位となっています」

「つまり今までの獣人よりも強いって事か、

警戒してかかった方が良いね」

「忠告は感謝いたしますが、それでも怯んでいる訳には

参りません」


七宝が獣人についての情報を分析した直後に兵士は

手に持った銃になにかのアダプターらしき物を取り付ける。


「それは……あなた方はそれを扱えるのですか?」

「ええ、我々も遊んでいた訳ではないのです」


その光景を見た七宝が兵士に質問を投げかけると兵士は

直ちにこう返答し、アダプターを取り付けた銃から

極太のレーザービームを発射する。


そしてそのビームに当たった獣人は

直ちにその身が蒸発したかのように消滅させる。


「僕達が開発した武装では有るけど、

実際他の人が使っている所を見ると少しびっくりする光景だね」


兵士がレーザービームを放ったのを見て高御はこう呟く。


「ええ、原理を知らなければそのまま気を失うかも知れないわ」


高御の発言に対してミスティも同意し、

このレーザービームがそう簡単に使える物ではないという事が

なんとなくその場の空気で伝わって来る。


「ええ、実際我々も初めて使った時は大困惑しましたよ。

そして、出来れば使いたくはないです。

ですがこの状況、出し惜しみはしていられませんからね」


と兵士が答える辺り、どうやら訓練は積んでいるようだ。


「なら此方もためらっている訳には行きませんね。

仕掛けさせていただきます」


兵士が放ったレーザービームの影響なのか、

他のピープル達の動きも鈍っているのを

神楽は見逃さなかった。

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