第三百六十四話 地球に帰還する時

「ええ、いかんせん数が足りません。

その為神楽様達の能力無しでも、

もう少し安定した供給を確保したいのです」

「つまり、現状ではそれが出来ないと?」

「そういう事です、

せめてこの近辺に何処か供給場所を確保しておきたいのです」


ライトは更に問題を突き詰め、

近辺で調達出来る場所が無い事が最大の問題点である事を告げる。


「素材の安定供給ですか……少し考えさせて下さい。

因みに今の素材ではどの位改良出来ますか?」


その場に居た兵士が問いかけるとライトは


「この施設だけであれば何とか可能です。

まあ、少し時間はかかりますが」


と明言し、本部だけであれば改良出来る事を告げる。


「ならその件は任せて構わないかい?

僕達は一旦地球に戻って一旦今後に備える」

「いつまでもスロープやセリアンを、

こっちに置いておく訳にもいかないしね」


高御とミスティがこう告げるとアデルは


「ええ、そうして下さい。

僕達は本部の改修、資材の調達、今後の動向を検討します」


と発言しライトも


「ええ、只人員且つ緊急の連絡要因として

クスナとアップルは此方に残って欲しいんだけど」


と告げる。

それを聞いたクスナとアップルは


「勿論そのつもりだよ」


と声を揃えて元から残るつもりであった事を話す。

その声は甲高く、狭い室内に響き渡るが

人によってはつい耳を塞いでそうになるレベルだ。


「では、我々は一旦戦艦に戻り、地球に向かいますね」

「ええ、では又会いましょう。

最もその時は此処に転移通路が作られるのでしょうけど」


神楽が別れの挨拶の音頭を取ると

アデルはこう言葉を続ける。

その言葉を聞いた神楽が少しばつが悪い表情を浮かべた所をみるに

どうやら図星だったようだ。


その後は特に会話をかわす事もなく、

そのまま本部の司令室を後にする。


そして戦艦に乗り込むと高御は神楽に


「さて、アデル君の言う通り今後転移通路を展開するの?」


と発言する。


「既に気付いているのではないのですか?」


先程のアデルと同じ様な発言に対して

神楽は既に分かっているのではないかと答える。


「……さて、地球への転移通路を開きますよ」


高御の問いかけに対し神楽は涼しい顔で完全にスルーするものの、

それは逆にその言葉が事実であるという証明であった。


その後神楽が手をかざすと同時に目の前に転移通路が出現し、

全ての戦艦はその中へと移動を開始していく。

そしてそれをくぐり終えると直ぐに地球へと到着する。


「さて、戻ってきたは良いけど

こっちはどうなっているんだかな?」


出発前と変わらない地球を見てクウォスはこう呟く。

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