第二百十三話 魔力の詳細を見る時
「その魔力で水晶の場所を感知したのか?
しかしそれだけで説明出来るのか否か……」
今の説明に対し高御は内心でこう疑問を抱くものの、敢えてそれを口に出す事はせずに
「君達の魔力と言う物は何に対して使える物なの?」
「俺は身体能力強化、セリアンは魔法攻撃を得意としてる、得意する部分は各々の能力で決まっていて変わる事は粗ねえ」
エリーが魔力について問いかけるとスロープはこう返答する。
その内容は一同が納得するには十分だった。
「説明してくれたのはありがたいが、それだけだと判断し辛い部分があるな。
もし可能であれば今此処で見せてくれないか?」
「宜しいのですか?此処で魔力を使っては被害が……」
「その点は問題ないよ、神楽」
「ええ、分かっています」
クウォスが魔力の実物を見てみたいと告げるとセリアンは少し困惑する。
この部屋で魔力を使えば被害が出るというのは周知の事実だろう、だがその状況でこう告げてくる意味が全く理解出来なかったのである。
しかし他の面々はその言葉が示す理由が既に分かっていた、神楽は早速室内に宇宙空間のような真っ暗な空間を作り出す。
「これは?」
「私が作った空間よ、ここなら周囲に被害を出す事は無いわ」
「そう言えば微かに頭にあるな……なんかこんな空間に居た様な記憶が……」
セリアンが尋ねると神楽はこう返答するがそれに対してスロープは何か思い当たる節があるような事を口にする。
「微かに……彼等の記憶には水晶に触れた後の記憶が無いと言う事なのか?
だとしたらあの行動はやはり……」
今の発言を聞き、明帝はその内心で先程の戦いの記憶が彼等から抜け落ちている事に対する疑問を抱いていた。
「はい、ではまず私から」
セリアンはそう告げると目の前に赤い魔法陣を出現させそこから炎を放つ。
「その魔法陣が魔法を放つ際に必要な物、或いは魔法を使うという証明なの?」
自身の能力と似た魔法を使った為かパウが一番に問いかけるとセリアンは
「え、ええ……皆さんが魔法陣と呼んだあの赤い円陣が魔法を発動する合図であり、あれを隠して発動させる事は少なくとも私の知る限り不可能です」
と返答する。
続けてスロープが
「なら次は俺の番だな」
と言って目の前に黒い魔法陣を出現させそれを腕に宿らせ振り翳して地面に叩きつける。
すると地面が抉れそこから地面に亀裂が入る。
「身体能力強化か、確かにその通りね」
ミスティがこう感想を述べるがスロープはその場から動かない。
「どうしたの?スロープ……君?」
その様子が気になったのかミスティはスロープに対して声をかける。
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