第百九十話 西欧代表の通信が来る時
「内部で出世争いですか……異性連合の部隊にもそれは見られましたが、自軍でそれが起こると不安要素ですね」
「ええ、その為に何をしようとするか……流石に星間連合に命乞いを使用等とは考えないでしょうけど、出世欲がおかしな方向に向かうと危険な事態を招く可能性がある」
クリン達が見ていた西欧部隊の不自然な部分、問題はこの点だった様だ。
「出世欲が強いとなると、此方が提供した技術を勝手に解析しておかしな物を作り出そうとする可能性もありますね。
そうした方が出世も捗りますから」
「その点については寧ろ大歓迎よ。
もしそうだとしたら技術を私達が思いも寄らない形で活用してくれるのだから。
只、それを独占して利権を貪ろうとするのであれば止める必要があるけれど」
出世という言葉について不安をいだいたのか、パウが少し低めの声で話すと神楽は技術の活用事態は望ましいがそれによって利権を貪ることについては否定する。
「アデル様が提供した技術やデータもその形に利用される可能性はあるのでしょうか?」
「ええ、その可能性は捨てきれないですね。
勿論そうならない用途に此方も可能な限り手を打っては行きますが」
アデルの側近の兵士も不安があるらしくこう話すと高御は可能な限りの対処はするという事を告げる。
その直後地球から通信が入ってくる、しかもその送り先は今話題に上がっていた西欧代表であった。
「西欧代表から通信?先程の作戦の件でしょうか?」
「タイミングから考えて恐らくその通りだと思う、直ぐに繋いでくれるかな?」
テテルがこう話すと同時に高御が通信を繋ぐ様に告げ、その直後通信機の近くに居たグレープが通信を繋ぐ。
「作戦終了後早々に通信を入れさせて頂き、それに対応して頂ける事を嬉しく思います」
西欧代表がこう話を切り出し始めると通信の目的がやはり先程の作戦である事を告げる。
「先程の作戦でなにか問題があったのですか?」
「いえ、問題と言う訳ではないのですが今回敵に新型がいたということなのでそのデータを提供していただければと思いまして」
「既に新型の事は伝わっていたのですが、ですが此方もまだ解析が終わっていませんので明日中には提供出来ます」
高御と西欧代表がそう会話する一方、その言葉を聞いた七宝はその場から移動して謁見の間から外に出ていく。
「おや、通信を送ってきたのは私だけでは無い様ですね」
西欧代表がそう告げると同時に他の国々の代表者達も通信を送ってくる。
その言動から西欧代表がこの通信を送ってくる事は承知していたようだ。
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