第百五十四話 各国に物が届く時

扉の前に立ったエリーが取っ手に手を掛けその扉を開けるとその奥は格納庫兼出撃口であった。

そこにあった多数の兵器がそれを物語っていた。


「これは……やはり実物を見ると凄いですね……」


各国首脳が目の前にある兵器に改めて驚きを隠せない中、エリーはそれに対して淡々と解説を進めようとする。


「この光景も中継されて居るのでしょう?」


エリーが試す様な問いかけをすると米国代表は


「ええ、この光景も世界中に中継されています。

勿論先日の自爆で被害を受けた地域にも」


と発言する。

それに対しエリーは


「その言葉を言うべきなのは実際に被害を受けた欧州地区の代表者でしょうに……此処で遠慮している様では若干不安になるわ」


と若干誂いと不安が混じった返答をするものの、そのまま話を進めていく。


「さて、この兵器を見せた事で此方が戦力を提供する意思がある事は証明出来ましたよね」

「ええ、ですが此処にある数では到底我々が希望するのには程遠いのでは?」

「そんな事は百も承知の上です、なので今頃届いている筈ですよ」


日本首相がエリーに問いかけるとエリーはそれは分かっていると告げ、そのまま意味深な言葉を続ける。


「届いているとはどういう事です?」

「その言葉の意味はブリーフィングルームに戻れば分かります」


各国首脳が揃ってエリーの言葉に対して疑問を投げかけるとエリーは先程の部屋に戻ればその言葉の意味が分かると言う。

その言葉の真意を計り兼ねているのか各国首脳は更に首をかしげ、不可思議な表情となる。


「さて、此方の兵器を見せた所で此処に留まる理由は有りませんね、此処は会談の会場ではありませんから」


エリーはそう告げると踵を返してブリーフィングルームに戻っていき、各国首脳もそれに続いていく。

そしてブリーフィングルームに戻るとリリーは徐に備え付けられているモニターの電源を入れる。


「あら?会談の途中でモニターを入れるのですか?それは些か……」

「ええ、分かっています。

会談の途中でやる事ではありませんね、ですがこうしなければ先程の皆さんの疑問は解決しないのです」


中東代表がこう告げるとエリーはこう返答する。

それを聞いた各国首脳がモニターに目をやるとそこにはそれぞれの国の何処かの光景らしき画像が映し出されていた。

だがそこに映し出されていた物に目をやると首脳達は明らかに動揺した表情に変わる。


「あ、あれは我が国の……ですがあれは!?」


と発言する。

そこに映し出されていたのは先程の兵器や見た事が無い物資が届けられている画像であったためだ。

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