第百五十二話 エリーが会談に臨む時
一抹の不安を覚えるエリーだったが、だからといってその詳細を調べている余裕は今の彼女には無い。
そのまま戦艦を移動させ、合流地点へと向かう。
そこは日本の首都東京に有る国会議事堂の上空であった。
「ここで待ち合わせる手筈だけど、どう見てもこの戦艦を着陸させるスペースは無いわよね此処……」
建物より戦艦の方が明らかに巨大であり、そこに着陸させるのはどう考えても不可能であった、だからといって地上で歓迎される雰囲気と言う訳でもない。
一体どういうことなのかエリーが思考していると同時に国会議事堂の門が開き、そのまま中に車が何台も入ってくる。
「あれは……そうか、そういう事なのね」
その状況を見たエリーは何かを察したのかそのまま戦艦で待機する。
一方車は国会議事堂の敷地内に続々と入って来たかと思うとそこで停止し、中から次々と人が降りてくる。
「要するにこういう事なのでしょう?」
エリーはそう呟くと目の前にある何かのスイッチを起動する。
すると地上に停まっている車、正確に言えばその中から降りてきた人々の目の前にワープゲートが出現し人々は躊躇う事無くそのゲートの中に入っていく。
それを確認したエリーは
「さて、会場のセッティングは事前に彼等がしてくれたとはいえ、機械だけにお出迎えさせるのは失礼というものね」
と呟いて戦艦のブリッジを後にし、出入り口から何処かへと移動していく。
その移動先は戦艦内のブリーフィングルームであった。
その扉を開けると粗同時に向こう側の扉も開き、先程地上からワープゲートに入ってきた面々と対面する。
「この度は此方の申し出を受け入れて頂き、誠にありがたく思います」
入ってくるなり日本首相はエリーに対して一礼する。
それを見たエリーは
「此方としても地球側の自衛戦力は必要だと思っていますから願ってもない申し出ではありました、ですが宜しいのですか?私達の戦艦の中で地球の今後を左右する会談を行って。
地球上の施設で行った方が国民へのアピールにもなるのでは?」
と地球の代表に対して感謝の意を示しつつも一方で疑問を呈する。
それに対して
「それはそうなのですが、現状各国共に混乱しています。
被害にあった場所は当然ですがそうでない場所にも不安が広がり、日本でも下手な行動をすれば暴動が起きかねない状況なのです」
と返答したのは米国大統領であった。
「なるほど、地球の施設で開催しなかったのではなく出来なかったのですね」
それを聞いたエリーは至極納得したという表情を浮かべる。
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