第百二十話 地上に向かう時
「傀儡政権ですか……確かにそうかも知れませんね」
高御の声を聞いたアデルはひっそりとこう呟き、それ以上言葉を続けなかった。
「さて神楽、これから忙しくなるわよ!!」
「そうですね、早く設置しないと手遅れになる可能性は無いとは言えません。
まだ設置の許可が降りたと言うだけであって設置自体が完了した訳では無いのですから」
ミスティが神楽に激を飛ばすと神楽もそれに反応し自分自身に気合を入れる様な口調で発言する。
そして目の前にあるモニターに手を翳すと現在夜になっている地域に次々と件の検閲装置を出現させていく。
「さて、僕達も立っている訳には行かないね」
「ええ、行きましょうか」
高御とミスティがそう声を揃えるとアデルは
「?何処に向かうのですか?」
と二人に問いかける。
その問いかけに対して二人は
「決まっているよ、件の場所を調査しに行くの」
と返答する。
「つまり、総帥自らが調査に向かうと?」
アデルが少し驚いた顔で更に問いかけるとミスティは
「ええ、総帥だからこそ直接現場に向かうのよ。
椅子に座って偉そうにしているだけでは誰も付いてこないでしょう、それに現場を見ているからこそ判断出来る様になる。
最も、総帥が全てを処理してしまうというのも問題では有るのだけど」
と返答する。
その返答にアデルは
「確かにそうかも知れませんが……」
と更に困惑した声を上げる、どうやら相当意表を突かれた行動の様だ。
「勿論分かった事は君達にも伝達する、問題は無いよ」
高御がそう言うとそこに
「なら、私と明帝も加えて下さいよ」
という声と共にエリーと明帝が現れる。
「君達も来ていたのか、全く以て耳が早い事だ」
「私の能力や私達の性格は良くご存知の筈では?」
その場に現れたエリーと明帝に対し高御がやや皮肉った様な口調で返答するとエリーも動じる事無くそれを切り返す。
「さて、それが分かった所で皆さん各地に向かいましょうか」
「一応聞いておくけど何処に向かう?僕は日本に向かう」
「なら私は米国に」
「スーダン地域は僕が担当します」
「欧州地域は私が行きますね」
高御がそれぞれの面々が何処に向かうのかを問いかけた結果、高御が日本、ミスティが米国、明帝がスーダン地域、エリーが欧州地域に向かう事が決定する。
「ではそれらの地域の機器設置を優先した方が良さそうですね」
神楽はそう言うと翳す手を両手に増やし、さらに力を増幅させる。
「さて、行こうか」
高御はそう告げるとそれぞれの目の前に転移通路を出現させ、四人はそれを潜っていく。
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