第百十八話 機器を披露する時
「それは分かりましたが、今の発言だとまるで異星連合について詳細な能力を把握している様な口振りですね、それは一体何を根拠にしているのですか?」
「根拠も何も僕はその異性連合を構成しているマルティー人です。
と言っても反戦側の代表ですが」
各国首相がアデルに対して更に質問を投げかけるとアデルは躊躇うこと無く自分がマルティー人である事、そして反戦派に居る事を説明する。
「マルティー人の反戦派?と言う事はマルティー人側も一枚岩では無いと言う事ですか?」
「ええ、僕達も元々はマルティー本星で好戦派を抑え込もうとしたものの達成出来ず、どうすれば良いのか途方にくれていた所異星連合を退けた部隊の存在を聞きつけ協力を要請したのです」
「彼の言う事に嘘は有りません、それは僕が保証します」
首相のさらなる問いかけに対しアデルは言い淀む事無く言葉を続けていく。
それを聞いた高御も言葉を続けアデルの発言に虚言が無い事を念押しする。
「まあ、そちらの方が異星連合の構成員であろうとなかろうと私達にはどうする事も出来ません。
なのでその件について我々は口出しは致しません、現状では協力者が居るというのは頼もしい事ですからね」
日本国首相のその発言を最後に首相達はアデルに対して質問するのを止める。
その直後に神楽が
「私が今回の機器を責任を持って設置させて頂く神楽です。
今晩中には先程高御様が説明された場所に機器を設置させて頂きます」
と告げると各国首相は
「一体どうやってそれを行うつもりなのか……その点が気にはなりますが、恐らく我々の人智、理解を超えた部分にあるのでしょうね……その点は貴方達におまかせします。
我々はその機器についての説明を行えば良いのでしょう?」
「ええ、ご理解が頂いて助かります」
高御はこう返答して首相にお願いしている事を説明する。
「では皆さんに提供する画像、映像の為にその機器をお見せしましょう」
そう告げると神楽は部屋の入口に昨日アデル達の目の前で出現させた機器を持ち込んでくる。
それを見たアデルは
「能力を使って出現させないのは出現方法を明らかにしない為ですか……人智を超えた方法であるというのは分かっていますがそれを明らかにする訳ではないという訳なのですね」
と内心で敢えて機器を持ち込んだ神楽の内心を推察するのであった。
「見た所空港の検閲所に設置している機器と似ていますね。
もっと小型の機器だと思っていましたが」
「小型すぎると偵察員への牽制になりませんので」
機器を見た首相の第一声に対し神楽は明快に返答する。
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