第百十二話 降下を許す時

雛が叫んだ次の瞬間、ワープゲート内から高速で複数の物体が出現し凄まじい速さで地上に降下して行こうとする。


「あれは何?ワープゲートを通ってきたと言う事は只単に出現した何かという訳ではないのでしょうけど……」

「とにかくみすみす地上に降下させる訳には行かないよ!!迎撃する」


シュガーとソルトがそう告げるとその場に居た全員が降下していく物体に接近しそれぞれの機体で攻撃していく。

その結果大半の物体は撃墜に成功するものの全てと言う訳にはいかず、結果として数体の物体の降下を許してしまう。


「つっ、降下を許したか……」

「何が目的なのかは分からないけど、良からぬ予感がするのは確かね」

「あの大きさであれば地上に激突しても大きな被害は出ないだろうけど、それが目的とも思えない……このまま迎撃した方が良さそうな気もするけど……」

「降下先は完全に分散しているわ、現状で下手に迎撃すると分断した戦力で対応出来ない何かが出現したら詰む事になる。

ココは一度帰還し、次の指示を仰ぎましょう」


地上に降下した物体を気掛かりには思うものの、それについてとやかく言っても始まらないという印象で一同はその場を後にして帰路へと着く。

本部に帰還すると一同は真っ先に高御の部屋へと向かう。

するとそこには既に高御達が集合していた。

いや高御達だけではない、アデル達もその場に集っていた。


「高御様、申し訳ございません。

敵部隊の迎撃を行いましたが最後に出現した物体の地上への降下を許してしまいました」

「ワープゲートから出現した熱源反応の事だね、此方でもその反応は感知したけど具体的にはどの様な存在だったの?」


その言葉通り申し訳無さが全面に出ている表情で謝意を述べるソルトに他の面々も黙って敬礼を行う。

それに対し高御は特に責める事は無くそのまま出現した物体に付いての情報を求める、それを聴いた雛は


「此方がその物体となります」


と言って前方のモニターに先程出現した物体の映像を投影する。

するとアデルは


「あれは……」


と言う。

その声と表情から何か心当たりがあると感じたのか、ミスティが


「アデル君、何か知っているの?」


と問いかけるとアデルは


「ええ、あれは星間連合が使用している緊急用の脱出カプセルです。

主に旗艦が轟沈する際に脱出する為に用いられ、高速で身近な地上に降下します」


とその物体が星間連合の物である事及びその目的について解説する。


「つまり、あの中には人が乗っていると言う事か……」


アデルの説明を聴いた明帝はこう推測する。

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