第百六話 第二陣が来る時

取り出した直後に七宝がこう発言するとアデルは


「ええ、その通りですよ。

これはマルティーの技術を用いて作った翻訳機です。

元々マルティーは他の星系との交流も盛んに行われていたと言われており、その過程で会話をスムーズに行う必要が生じた為、様々な言語を瞬時に訳する為に開発されたと言われています」


と返答するが、その回答には迷いは無いものの何処か曖昧さが目立つ。

それを聞いた高御は


「何処か曖昧な返答だね、君も確証を持っている訳では無いのかな?」


と今の言葉遣いで気になった部分を問いかける。


「ええ、この翻訳機が最初に作られたのはずっと昔の話であり、僕達もその歴史を全て把握している訳ではないのです。

その後幾度となく改良を重ねて現在の形、機能になったと言われています」


アデルの返答から今回の一件で翻訳機が歴史ある物であるという事、又その歴史を全て把握している訳ではないと言う事が分かる。


「外との交流が盛んか……しかし、それ故に悪い存在も引き付けてしまったという訳か」

「全く以てその通りです、情けない話ですけどね……」


明帝がこう発言するとアデルは表情を情けない物にしながら話す。

だがその直後に


「しかし、此方が解説する前にこれが翻訳機である事を見抜くとは、それが七宝さんのお力なのですね」


と発言した事により七宝は


「ええ、私の能力である分析能力を使ってみたわ」


と返答する。


「となると、貴方が僕達が提供したデータの解析を受け持ったのはそれが最も適していると判断されたからなのですね」

「ええ、一応データ担当のトップですから」


アデルと七宝がこう会話した直後、施設内の警報が鳴り始める。


「警報!?何が起こったんですか?」


いきなりの警報にアデルが困惑した声を上げるとミスティは


「今本部から連絡が入ったけど地球上に星間連合のワープゲートが出現したという連絡が入ったわ」


と通信機を手にして伝える。


「星間連合のゲート!?と言う事は侵攻部隊の新手なのですか?」

「或いは僕達の追撃に更なる部隊を送り込んできたのか……いずれにしてもこのまま放置する訳には……」


兵士とアデルが一瞬困惑した声を上げるものの、直ぐに正気を取り戻して出撃しようとする、だが高御は


「アデル君、君の機体はまだ初回テストが終わったばかりだよ、焦って実践に出るべきじゃない。

此処は僕達が迎撃するよ」


と先走りそうになるアデルを制止する。


「しかし……追撃しなければ地球に被害が……」

「勿論それをみすみす見逃すつもりは無いよ、だけどここから僕達が出撃するには遠い。だから……」


アデルが言葉を続けようとした所に高御はこのまま見逃す気は無い事を告げる。

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