第六十八話 作戦が始動した時
その日本の宇宙には高御の姿が映し出されている、どうやら今の時期は件の壁が日本を初めとする世界の一部を隔離した直後の様だ。
だがその様子は日本国内からは分からないのか、それとも空に人が映っていると言う光景に動揺しているのか国民がそれを認識している状態では無い。
「一体何が起こっているの?どうなっているの?」
「国民の皆様、現在起こっているこの現象は只今詳細を調査中です!!くれぐれも焦った行動をしない様に……」
混乱する国民の前に全国同時に放送されている通信の声は虚しく響き渡るばかりである。
更に
「只今入ってきた新たな情報です、空路や海路を辿って外国との行き来が可能かどうか調査していた部隊が突如として本島に戻されてきたという事です!!
それらに記録されている映像を現在検証していますが、これは最早……」
と言う放送の後に全国同時に放送されたその機体、船舶が撮影したと思われる映像に国民は言葉を失う。
日本から少し離れた場所を航行している筈のそれらの機体が急に闇に包まれたかと思うとその直後に国内の基地や港に戻されてきたのだ。
しかもそれらは戻された直後に極めて安定した状態で停止し、直ぐに降車出来る状態であった。
「今のは一体何なの!?まるで瞬間移動でもしたかのように……」
その映像を見せられ、国民は益々混乱していく。
その様子を空高くから見ている集団が居た、当然それは先程空に映し出された高御とミスティ、そして神楽達である。
「これで第1段階は成功だね」
「ええ、まさかこんなにストレートに上手く行くなんて思っていなかったけど」
「それもこれも全て君達がもたらしてくれた情報のお陰だよ」
高御とミスティはそう告げると神楽達の方を振り返り、そのまま一礼する。
「いえいえ、そもそもこの作戦が上手く行ったのは高御様達が与えて下さったお力のお陰ですから」
明帝がそう遠慮がちに話すが高御は
「その様付け、どうにかならないの?まあ、仕方ない部分もあるんだろうけど」
と少し茶化している様な返答をする。
どうやら様付けされる事は抵抗を感じている部分もある様だ。
「ええ、組織という物は完全な平では機能しませんから」
明帝が明確に更に返答すると高御は
「ふう、まあそれよりも他の国はどうなってる?」
と質問の内容を変え、それに対して
「他の国も同じ様な状態ですね」
「突然の事態に大混乱、まあ、それを狙っての事では有るのだけど」
「故に早々に作戦を次の段階に移行するべきだろうな」
とエリー、クウォス、パウが返答する。
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