第十九話 向かい始める時
それから一ヶ月後、神楽の両親はとある場所に待機していた。
いや、その場に居るのは神楽の両親だけではない、あのサミットに出席していた日本人全員がその場に集っていた。
だが逆にそれ以外の住民の姿は見られない、どうやらその場には居ない様だ。
「愈この時が来たのね……」
「ああ、思えばあのサミットの時からずっと今日、この時を待ち望んでいた。
遂にこの日を迎えられた」
「マルティー人との同盟から一ヶ月……思えばこの一ヶ月は今日の為に準備を整える為の時間であったと言っても過言ではない。
訓練に次ぐ訓練の結果、マルティー人の技術はある程度使えるようになったのだから」
神楽の両親が何かに意気込んでいる様な口調を呟くと父もそれに対して首を縦に振って同意する。
神楽の母の言う通り、同盟が結ばれてから今日に至るまで地球側はマルティー人が提供してくれた技術を使いこなせる様に日々訓練に明け暮れていた。
当初は当然の如く戸惑う日々だったがマルティー人も監修してくれた為、思った程混乱や苦戦は無く順調に参加者はマルティー人の技術をものにしていく。
「さて、地球人の皆さん準備は宜しいですか?」
そう告げる声と共にサミット出席者の前にマルティー人らしき人物が姿を表す。
「今更なんだけど、マルティー人の外見は地球人と変わらないのね」
「本当に今更だな、まあ確かにそうなんだが」
神楽の両親が告げた通り、マルティー人の外見は地球人と同じ様な印象である。
最も、代表者を見た瞬間にそれは誰もが思っていたが。
「では、皆さんは早く此方に乗り込んで下さい」
現れたマルティー人はそう告げると背後にある戦艦の扉を開け、そこにサミット参加者に対して乗り込むように促す。
「色々とお話もしたいのですが、時間の余裕は有りません。
此方の戦艦の中で今後についての説明を致します」
マルティー人が続けてそう発言した後、その場に居た全員が次々と戦艦に乗り込んでいく。
そして戦艦に全員が乗り込んだのを確認すると扉が閉まり、戦艦が動き始める。
一方、中に乗り込んだ面々は会議室らしき場所に集められていた。
その目の前には先程と同じマルティー人が立っており、サミット参加者に対してこう呼びかける。
「皆さん、我々は現在今回の事件で断絶されている場所の一つである日本へと向かっています。
我々はあの紫の光を突破する術を持っていますが、その先に何があるかは想像が付きません、くれぐれもご注意下さい」
これが呼びかけられた内容である。
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