第20話- 風船

赤い風船がフワンフワンと寄ってきた、風の流れに逆らって。

捕まえると"連れて行って" そんな気がした。


都会の雑踏のなか、年に似合わぬ風船を持って歩道橋を昇り、そこで空に帰そうと手を離した。


暫く眺めていると急に手を引かれ体が宙に浮く。


回りを見渡すと風船と宙づりになった人達が飛んでいた。

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