第42話 さすらいの者①
点在する民家を通り過ぎるたびに排気口からコーヒーとメープル・シロップの香りがPansyを包みに現れた。
街に下りて難民を装えば衣食住を確保。アルバイトも高校卒業も難なくできた。
Pansyの作品を大衆の目に晒さないために、美術大学に進学しなかった。アルバイトと旅を繰り返しながらスケッチ・ブックを増やした。どの地域に移っても、Pansyの容姿は多様性の一種とみなされた。浅い付き合いも増えたが、Pansyは互いが踏み入ることを許さなかった。
欧米を南下すると、アルバイトは裏方職に限られてきたが、Pansyのプライバシーを守るのがより容易になった。
大星大国は正式な国名ではないが、かつて掲げられていた国旗に州と同じ数の星が用いられていたことが由来で呼ばれている。
世界中の大陸に国という垣根がなくなった今も、このエリアは別名称で特別視されている。
しかしPansyにとっては特別でも何でもなかった。
容姿は周囲に溶け込んでも、難民出身というレッテルは拭えない。自由の女神は多様性を見守っていなかった。
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