第10話魔法のクスリ
魔法のクスリ
宙ぶらりんな毎日がのんびりと曇り空のしたで繰り広げられている。時が経つのは遅い。まだまだ大人にならなくていいようだ。私は魔法のような薬を手に入れた。これを持って、出かけよう。
めずらしくまっすぐ学校へ着いた。曲がり角では曲がったけれど、寄り道をしなければまっすぐと言っていいそうだ。おしゃべりクラブのひとたちが向こうから歩いてくる。みるからにおしゃべりクラブの顔をしている。私はおしゃべりせず時が経つのを待てばいいと知っている。だから皆より賢いのだ。
このクラスには小食の男がいて珍しいと騒がれている。弁当の時間になると皆の視線がその男に注がれる、ような気がする。実際はまじまじと常に見ているわけではないのだが、そんな気がする。「もうおわりかよ。」「また残したー!」などと2,3人が言った。確かに女に小食が多いとは思っていたが、別に興味がない。その男、というより毎日のこの現象に。
昼休みの外がうらやましい。スーツや作業着を着たひとたちが外を歩いている。私は先日もらった魔法の薬を飲むことにした。これを飲めば理科の授業でも具合が悪くならないそうだ。ほんとうかしら?なんだかあやしいがわらをもすがってみよう。
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